タイ保健省は気をつけるべき食べ物ワースト10を公表して注意を呼びかけている。これらは特に暑季注意としているが、季節に関わらずず気をつけた方がよいものがほとんどなので参考にして欲しい。
生肉の叩き(ラーブ ディップ)
ばらまき用タイ土産プリッツ ラープ味でおなじみのラーブ。
ラーブは熱を通したもの(スック)と生のもの(ディップ)があって、これは生の方。
何が危ないのかというと、生肉の叩きに生血と胆汁をぶっかけてスパイスで和えただけの料理なので菌に汚染される可能性がある。
そして寄生虫。
特にムーパーと呼ばれる野ブタは危ないようだ。
危ないとわかっているのだが、北部や東北部では昔からラーブが「ご馳走」とされていて未だ生ラーブを愛する人は少なくない。
*ラーブは確かにうまい。
ご馳走である。
以前はぼくも危険を顧みずばんばん食べていた。
が、ある日尻から寄生虫がぽろり。
サナダ記念日以来、生のラーブを食べるのはやめた。
エビの踊り(クン テン)
淡水産の透明で小さなエビを生きたまま香辛料で和える料理。
香辛料にまみれ口の中でぴんぴん跳ねるエビは甘くてとてもおいしい。
でもラーブと同じく菌汚染と寄生虫の危険がある。
貝のヤム(ヤム ホーイ クレン)
タイ人はホーイ クレンという赤貝に似た貝が好きでよく食べる。
貝自体には問題がないのだけれど、さっとゆがいた血のしたたるような半ナマが彼らの好みのため熱が十分に加えられておらず、ひどい目に遭うことがある。
*ヤムはトムヤムのヤム。
「混ぜる」の意味で材料にライムを搾り和えた料理。
外国人はスパイシーサラダと呼ぶことが多い。
カニの身をのせる炒飯など
ほぐしたカニの身をトッピングした炒飯や麺類などを提供する店がある。
保存状態次第ではこのカニもけっこう危ないのだそうだ。
ココナッツ ミルクを使った料理、菓子
ココナッツミルク入りの食べ物は足が早い。
これ、タイの常識。
日本人がグリーンカレー、レッドカレーと呼ぶケーン キオワーンやケーン ペットはみなココナッツミルク入り。
おかしいと思えば口をつけないように。
たっぷりココナッツミルクを染み込ませたもち米にマンゴーを添えた大人気スイーツ、カオニオ マムアンなども注意が必要だ。
生ビーフン(カノムチーン)
米粉を熱湯に搾りだして作る生ビーフン。
これに辛い汁をかけた麺料理がタイ人は大好きだ。
本来、生ビーフンは傷みやすい。
常温に放置してもなかなか傷まない生ビーフンは保存料を使用しているのではないかと思う。
傷んでくるとねとつき臭いがするのですぐにわかる。
鶏飯(チキンライス、カオマンカイ)
鶏飯が要注意とは知らなかった。
保健省が呼びかけるということはそれなりに事例が報告されているのだろう。
そういえば鶏は常温にさらされているし、鶏脂を混ぜたご飯も意外に傷みやすいのかもしれない。
パパイヤサラダ(ソムタム)
ソムタムが問題なのではなく、オプションで追加する塩漬けのカニ(プー ドーン)と魚(プラーラー)が危険。
カニや魚はうま味調味料として用いられ、ソムタム好きはカニ、魚を入れずしてソムタムといえるか、とまでおっしゃる。
が、製法上寄生虫や細菌の温床になりやすい。
火を通せばよいらしいのだけれど面倒がって生のまま放り込む店も少なくない。
ソムタムを食べて腹を壊すのはたいてい塩漬けカニか魚が原因である。
*ぼくは昔から塩漬けのカニと魚は避けている。
衛生上の理由と言うより臭いから。
何でも食べられるタイプだけれどこの2つは口にできない。
ガザミ入りソムタム(ソムタムプーマー)
南部のビーチの海鮮料理屋でガザミソムタムを注文したところ、甲羅ごと砕いた生ガザミがごろごろ入っていてびっくりしたことがある。
ぼくは恐れをなして食べなかったがタイ嫁は、うまいうまい、とみな食べた。
タイ嫁はその後、下痢、腹痛、吐き気、めまい、大変な目に遭った。
その症状からサルモネラ菌による食中毒だったのではないかと思う。
普通なら救急車を呼んでもおかしくないくらいだったけれど頑健な彼女は正露丸で治した。
これはいつ当たってもおかしくない料理なので避けるように。
野菜サラダ(サラッ パック)
細菌汚染。
残留農薬。
寄生虫。
生のまま食べる野菜サラダは様々な危険に満ちている。
基準が守られていない氷
食べ物ではないけれど氷が危ないことは昔から言われている。
氷をグラスに入れて溶かしてみると異物が確認されることも珍しくない。
氷はたいてい地域の小さな製氷所で製造されるが、そういうところは国の定めた基準に沿うほどの技術や知識、設備を持たないし、行政のチェックも機能していない。
また、氷そのものに問題はなくても運送方法がずさんで汚れてしまうこともある。
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そのほか要注意の食べ物
ぼくは当たったこともないし気にせず食べているけれど、人によっては危ないかもしれない食べ物。
生料理
これはタイだからというわけではなく世界共通。
食べ物は火を通して食べた方が安全に決まっている。
でも生ものってうまいんだよね。
タイ人は日本人ほど生を好まないけれど、上に挙げたラーブ、貝のほかに、生牡蠣(ホーイナンロム ソット)、エビのナムプラー浸け(クンチェーナムプラー)、なども要注意生食品
生食品
「ネームソーセージは危ない」と書く日本人が多い。
ネームは、ミンチ状にした豚、もしくは水牛の肉に、薄く切った皮とご飯粒、にんにくを混ぜ、バナナの葉で何重にも包んで発酵させた食品。
タイでも「生ネームは食べない方がよい」と言われる。
理由は不衛生な手や調理器具による肉の細菌汚染。
不安な人は必ず熱を通してから食べるように。
肉の代わりに魚を使ったプラーソムも要注意。
野菜果物
タイは知る人ぞ知る農薬大量使用国。
2020年の調査では野菜果物の50%以上から基準以上の残留農薬が検出された。
果物で最も汚染率の高かったのは、輸入赤ブドウとインドナツメ。
野菜で危ないのは、ミニトマト、キーヌー唐辛子、赤唐辛子、芹菜、カイラン。
これらの野菜はすべてのサンプルから基準を超える残留農薬が検出された。
パクチー、カパオ、空心菜、大根、ブロッコリーなども半数以上、とかなりのもの。
食べてすぐに体調を崩すほどではないけれど、長い目で見れば危険かもしれない。
カブトガニに当たった話
南部を旅行していたとき、市場で売られてうた焼きカブトガニを買って食べた。
数時間後、ハラワタがみな出てしまいそうなほどの嘔吐と下痢。
タイで当たったものの中ではコイツが一番凄烈だった。
カブトガニには季節により毒を持つ種があって、その毒はフグと同じものだというのだから無理もない。
ちゃんとした料理店で食べるのなら大丈夫だと思う。
たぶん。
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