サイトで見る限りタイのネームソーセージに関して(も)中途半端な情報がまかり通っているようです。ネームとは何か、ネームの買い方、保存法、注意点、などの話です。
大人気のネームソーセージ
「にんにくが効いて酸味が絶妙」
「もっちりした食感がたまらない」
「いける!酒に合う!」
という熱狂的ファンも大勢のネーム。
豚、もしくは水牛の肉を挽肉状にし、薄く切った皮とご飯粒を混ぜて発酵させた食品です。
ネームソーセージはソーセージにあらず
まず、日本のみなさんネームについて大きな誤解をしておられます。
日本ではネーム ソーセージ、タイの生ソーセージ、発酵ソーセージ、などと呼ばれていますが、違います。
ネームはソーセージではありません。
日本人がネームをソーセージと呼ぶ根拠は恐らくチューブに詰められ細長いから。
日本には魚肉ソーセージなる素晴らしくも珍妙な食品があるせいで、似たようなものを見るとなんでも「ソーセージ」と呼んでしまうようです。
「ネームソーセージはソーセージと違って皮がない」
とか書く人がおられますが、皮がないのだったらもうソーセージ(腸詰め)じゃないじゃないですか(笑)。
ネームは寿司の仲間?
実はこれ、ソーセージというよりむしろ鮒寿司とかナレ寿司に近い食品。
「馬鹿なことを言うな、ネームのどこが寿司なんだ!」
叱られそうですが、事実です。
なぜかといえばその製法。
鮒寿司の鮒の代わりに肉を使うとネームになっちゃう。
ちなみに寿司というのはそもそも魚介類に塩をして自然発酵させた食品のことで、後に発酵を早めるために使われていたご飯を気短な人が一緒に食べてしまったことが近代寿司につながったそうです。
ネームはもともと鍋で売られていた
ネームは、ミンチ状にした豚、もしくは水牛の肉に、薄く切った皮とご飯粒、にんにくを混ぜ、バナナの葉で何重にも包んで発酵させた食品。
ご飯粒による乳酸発酵の影響で肉が酸っぱくなることから北部の方ではチンソム(酸肉)とも呼ばれています。
ネームは食べたことがあっても、チン ソムを食べたことのある方は少ないんじゃないかな。
この二つ、まったく同じものなのですが、北部ではバナナの葉で包んだものをチン ソム、ビニールチューブ入りのものをネームと呼び分けています。
ネームにしても細長いチューブ入りになったのは近年のことで、以前はチン ソム同様バナナの葉で包まれていました。
今でもたまに見かけますが、昔のチン ソムは鍋やホウロウの洗面器などに入れてつくり、客の注文に応じすくって売りました。
これをチン ソム モー(鍋酸肉)といいます。
どう見てもソーセージではないですよね。
やはりこれはタイ北部や雲南の人たちのように「酸肉」と呼ぶのが正しいようです。
ネームの買い方と保存方法
ネームを買うときは売り子にすぐに食べられるかどうか訊いた方が確実です。
というのは作って2日以内のネームは酸味、うま味がまだ出ていません。
製造者の話によると、暑い季節なら常温で3日以上。寒い季節なら5-7日ぐらい置くと酸味が出ておいしくなるそうです。
ネームの保存は常温で1週間程度。
これ以上常温にさらすと酸っぱくなり過ぎ腐り始めます。
なので熟れ具合を見てジップロック、ビニール袋などに入れしっかり口を縛り冷蔵庫へ。
この方法だと一ヶ月近く持つとのこと。
バナナの葉で包んでいるタイプはバナナの葉から出し、上と同様にジップロック、ビニール袋などに入れしっかり口を縛り冷蔵庫へ。
スーパーなどで売っている賞味期限がやたら長いネームってどうなのでしょうね。
買ったことも食べたこともないので何ともいえないのですが、特別な製法で腐敗を防いでいるのでしょうか。
それとも強力な薬品を使っているのでしょうか。
本来ネームは傷みの早い食品です。
ネームを生で食べない方がよい理由
「ネームを生で食べるのは寄生虫がいるから危ない」と書かれる方がおられます。
ネームにどのような寄生虫がいるかは知りませんが、タイでも「生では食べない方がよい」と言われます。
その理由は、不衛生な手や調理器具による肉の細菌汚染です。
簡単にいえば食中毒。
それから注意して欲しいのは硝石(硝酸カリウム)を使って色鮮やかにしているネームがあること。
硝石はハム、ソーセージなど肉の保存や発色に欠かせない薬品なのですが、発癌物質を生成するのではないかと疑われているそうです。
ようするに、見栄えのよいきれいな色のネームは薬品処理をされている可能性が高く、色の悪いものは良心的に作られている可能性が高いということ。
どちらを選ぶかはあなた次第。
以上、ネーム、チン ソムに関する情報でした。
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