衛生状態が日本ほどよくないタイでは寄生虫に感染するリスクが高い。
タイ食品医薬品局はとりわけ注意しなければならない寄生虫として次の5種を挙げている。
1.肝吸虫(肝臓ジストマ)
パヤート バイマイ タップ พยาธิใบไม้ตับ
感染経路
火を通していない淡水の魚介類から感染。
症状
腹痛(右肋骨の下辺り)、目や体の黄ばみ、胆嚢、胆管の異常。
危ない食品
ソムタム(パパイヤサラダ)、プラーソム(淡水魚をご飯粒で発酵させた鮒ずし、なれずしの類)。
予防
日本人が感染するとしたらソムタムの可能性が高い。
ソムタムが危ないのではなくソムタムに入れるプラーラーが問題。
プラーラーは淡水魚を塩、糠などで発酵させた塩辛の一種。調味料として広く使われている。
十分に火を通していれば問題ないのだけれど、昔からの習慣で生を放り込む人が少なくない。
生のプラーラーはかなりの確率で肝吸虫が潜む。
特に衛生に無頓着な店では火を通してあるかどうかよく確認すること。
もしくは最初からプラーラーを入れないソムタム タイを注文する。
(プラー ラーを入れるソムタムはソムタム ラーオ、ラオス式ソムタムと呼ばれる)
プラーソムは揚げたものが多く大丈夫だとは思うけれど、北部では生を売っていて、これをそのまま食べると危ない。
2.条虫(サナダムシ)
パヤート トゥアトゥート พยาธิตัวตืด
感染経路
生、もしくは火のよく通っていない豚肉。
牛肉、魚、虫卵に汚染された水や野菜、キムチなどからも感染の可能性あり。
症状
吐き気、腹の張り、不快感、痩せる、など。
危ない食品
ラーブ(プ)などの生肉料理、ネーム。
予防
日本ではサラダの一種と訳されているけれどラーブは香辛料で和えた肉のタタキ。
生と加熱があり、日本のみなさんが食べているのはほとんど加熱したラーブなので問題はない。
しかし、北部や東北部では生ラーブも食べられているため注意が必要だ(生ラーブでもしっかり火を通せば大丈夫)。
ネームは豚や水牛の肉を薄く切った皮とご飯粒を混ぜて発酵させたフナ寿司に近い発酵食品(魚を使うとプラーソムになる)。
日本人にも人気が高い。
通常は炒めて食べるが生を使ったヤム(ライムサラダ)には要注意。
生野菜は虫卵が付着していることがあるらしいのでよく洗うこと。
3.回虫
パヤート サイドゥアン พยาธิไส้เดือน
感染経路
非衛生な食べ物、水、手、などから回虫の卵が口に入り感染。
症状
一般には、吐き気、腹痛、食欲不振、肛門周りの痒み、など。移行症になると移行先によって様々な症状がでるという。
危ない食品
よく洗っていない野菜、果物、非衛生な食品。
予防
野菜、果物は丁寧に流水で洗う。火が通せるものはなるべく火を通す。
下に落ちたものは食べない。土などに卵が含まれている可能性あり。手洗いも忘れずに。
4.顎口虫
パヤート トゥアチード พยาธิตัวจี๊ด
感染経路
生、もしくは火がよく通っていない淡水魚(雷魚、ナマズ)、カエル、鶏、など。
症状
移動したところの皮膚がミミズ腫れのようになり痒みを伴う。
脳や眼に入り込み重篤な症状を引き起こすこともある。
危ない食品
生、もしくは火がよく通っていない淡水魚料理。蒸しもの、炒め物などすべての料理にいえる。
具体的には、魚のラーブ(プ)、魚のプラー。カエルのヤムなど。
魚のラーブ、ラーブプラーは魚を細かく包丁で叩き香辛料で和えた料理。
魚のプラー、プラープラーは魚を叩かず切り身にして和えた料理。
カエルのヤム、ヤムコップは炒めたり煮たりしたカエルを香辛料で和えた料理。
いずれも熱が十分に通っていれば大丈夫。
雷魚のペッサ(魚の形の鍋で煮る料理)や焼きナマズなども滅多にないとはいえ、生煮え、生焼けには注意。
*魚も切り身の和え物もカタカナで書くとプラーだけど発音は全く違う。
予防
淡水魚の生食はしない。調理のさいは火をよく通す。
5.アニサキス
パヤート アニサキス พยาธิอะนิซาคิส
この寄生虫はタイ人が日本食を受け入れ刺身が広く食べられるようになったため危険度が高まった。
日本食がもたらした弊害。
タイ人はもともと海の魚を生で食べたりはしなかったのでアニサキスに悩まされることはなかった。
アニサキスの情報については日本語のサイトの方が詳しく正確なのでそちらをご覧ください。
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