タイ料理の特徴は香辛料やハーブの香りと辛さ。そしてまったりとした味わい。このまったり味を演出するのがココナッツミルク。日本人に最も馴染みのない調味料ともいえるココナッツミルクの使い方や選び方の話です。
ココナッツミルクとは
ココナッツミルクはココ椰子の実の中にある胚乳に湯を加えて搾ったジュースです。
乳白色で一見ミルクに似ているためココナッツミルクと呼ばれるようになりました。
タイ語ではカティと言います。
ココナッツミルクの種類
ココナッツミルクには次のような種類があります。
生ココナッツミルク(カティ ソット)
ココ椰子の実の胚乳を搾った本来のココナッツミルクです。
タイの場合、生ココナッツミルクを手に入れるには次の3通りがあります。
1.椰子の実を割り胚乳を削って自分で搾る(とても面倒)。
2.削った胚乳を市場などで買ってきて自分で搾る(割と楽)。
3.市場などで売っている搾ったココナッツミルクを買ってくる
(楽だけど古い傷みかけたものをつかまされる可能性あり)。
メリット
生に勝るココナッツミルクなし。とてもおいしい。
デメリット
傷むのが早い。手間がかかる。
保存
生ココナッツミルクは1日ほど保ちますが味が変わるので搾ったらすぐに使うのが原則。
使い切れなかった場合は小袋に入れて冷凍保存です。
パスチャライズココナッツミルク (カティ パスチャーライ)
低温殺菌したココナッツミルク。
煮沸しないため本来の味、栄養がそれほど損なわれないと言われます。
実際に販売されている商品の多くは 20~30日保存が可能。
たいてい袋入りで基本、要冷蔵です。
UHTココナッツミルク(カティ クロン、カティ ユーヘイチティー)
短時間(数秒)で超高温加熱殺菌処理(UHT)した長期保存用ココナッツミルクです。
牛乳でいえばロングライフミルク。
十数ヶ月程度の常温保存が可能。
味はパスチャライズより落ちます。
通常、パック入りでペットボトル入りもあります。
缶入りココナッツミルク(カティ カポン)
高温で長時間(数十分)殺菌したココナッツミルクの缶詰。
パック入りより長期保存できますが味もさらに落ちます。
ココナッツミルクパウダー(カティ ポン)
スプレードライ方式で粉末状にしたココナッツミルクです。
扱いが簡単で保存に悩まないのは魅力的ですが味は期待しない方がよいでしょう。
成分調整や香りを添加した商品もあります。
ココナッツミルクの選び方
日本では入手のしやすさから、缶入り、パック入り、パウダー、のいずれかになると思われます。
缶入りとパック入りの大きな違いは殺菌方法です。
缶入りは高温で長時間加熱しているのでパック入りより味が劣ります。
パウダーは味噌汁でいえばインスタント味噌汁です。
軽くて持ち運びには重宝しますが味の面では今ひとつ。
よって、パック入りが無難、ということになります。
サイズはタイの場合、150ml、250ml、500ml、1000ml、があります。
ココナッツミルクの保存方法
ココナッツミルクは傷みやすいため使い切るのが原則です。
パックの場合、開封後は冷蔵で3日程度。
もう少し長く保存した場合は袋に移し替え冷凍保存です。
購入のさいは小さめのサイズをおすすめします。
ココナッツミルクの有名メーカー
チャーオ コ
ココナッツミルクといえばこのメーカーを思い浮かべるくらいの大手です。
ちなみにチャーオ コは「島民」の意味。
アロイディー
チャーオ コと同じくらい知名度があります。
アンパワー
ペットボトル入りのココナッツミルクを多く出している会社です。
タイ式ココナッツミルクの扱い方
タイ人はココナッツミルクを頭(フアカティ)と尻尾(ハーンカティ)に分けて扱います。
フアカティはココナッツミルクの一番搾りです。
油脂分が濃厚で菓子にかけたり辛子ペーストを炒めて汁(カレー)を作るのに使います。
ハーンカティは一番搾りを搾った後、さらに湯を足して搾ったもので、2番、3番搾りに相当します。
薄く、菓子、料理に混ぜて使います。
パック入りココナッツミルクの使い方
パック入りのココナッツミルクは一応、フアカティということになっていますが幾分、薄めのフアカティのようです。
ハーンカティとしてスープなどに加えるさいは好みに応じて薄めます。
メーカーの推奨では倍程度になっているところが多いですがこれだとかなり濃くなってしまいますし、濃いほどおいしいというわけでもありませんので味をみながら加え下さい。
ココナッツミルクとココナッツウォーターの違い
ココナッツミルクとココナッツウォーター、どちらもココ椰子の実であるココナッツから採れます。
よく熟した茶色の実の内側に厚く堆積している白い胚乳を搾って採れるのがココナッツミルク。
ココナッツミルクを飲む国もあるようですがタイでは飲用にはせず料理や菓子に使われます。
一方、緑色した若い実を割って飲むのがココナッツウォーター。
若い実にはまだ胚乳がうっすらとしか堆積していませんのでココナッツミルクは搾れません。
熟れた実は胚乳が厚くなる分、ジュースが減り、胚乳の石けんのような匂いもついてしまいますのでジュースは捨ててしまいます。
緑色のココナッツはココナッツウォーターとして飲む。
茶色のココナッツはココナッツミルクを搾り料理に使う。
ということになります。
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