オオバンガジュツ (クラチャーイ)
Boesenbergia rotunda (Finger root,Chinese ginger)
しょうが科のカミン(ウコン)に似た植物で地下茎を汁物や炒め物に使用。
生臭さをよく消すため、魚料理などによく用いられる。
料理に添えて生で食べられることもあり、細く切ったところは一見、千切りごぼう風。
しょうがのような辛味はなく、かすかな苦味とどこか薬臭さがある。
これも昔から生薬に用いられてきた植物。巷では男の不能回復に効くと信じられ、効能や特徴などが朝鮮人参に似ているところからタイの朝鮮人参と呼ぶ人もいる。
*タイには、黒(クラチャーイ ダム )、赤(クラチャーイ デーン)、黄(クラチャーイ ルアン)の3種がある。
・黄色のクラチャーイは白クラチャーイとも呼ばれ、普通、クラチャーイといえばこれを指す。日本語ではオオバンガジュツ。
・クラチャーイ ダム(Kaempferia parviflora)は日本では黒ウコン、英語では Black galingaleと呼ばれる。一見、しょうが風。中は黒っぽい。生薬にはクラチャーイ ダムが使われることが多い。
ヒメボウキ (メンラック)
メンラックはその香りからレモンバジルとも呼ばれる。
柑橘系というか鼻にジーンとくる香りとほのかな酸味があり好き嫌いが分かれる。
主にケーン(辛子汁)に入れたり、香味野菜としてカノムチン(生ビーフン)や汁物などに添えたりして食べられる。
メンラックの葉は、βカロチン、カルシウムが比較的豊富。下痢、のどの炎症などによいとされる。
*日本ではハーブとしてのメンラックよりも菓子や飲み物に使われる種の方がよく知られている。
ふやかしたメンラックの種はのどにひっかからずにつるんと入るので色々な飲み物に混ぜて食べられる。
味は無味に近いのだけれど、食感、のどごしが爽快。
悪玉コレステロールを体外へ排出したり糖分を吸収したりするため心臓病予防や糖尿によいとのこと。
メンラックの種はポピュラーな食材なのでスーパーなどで簡単に手に入る。
カミメボウキ(カパオ)
カパオはシソ科の植物。バジルの仲間でholy basilとも呼ばれる。日本語ではカミメボウキ。
インドでは万能薬、聖なるハーブとして盛んにハーブティーが飲まれているそうだけれどタイでは神聖視されることもなく、今のところ、もっぱら香味野菜として料理に用いられている。
生ではおいしくないものの熱を加えると一転、香りや味がぐんと引き立つ。
タイでは昔から植えられてきたカパオデーン(赤カパオ)とカパオカーオ(白カパオ)の二種をそのまま現在も使っている。
赤の方が薬効が高いとされ、一般にサムンパイ(生薬)には赤、料理には白がよく使われる(赤を使ってもいいけど仕上がりが悪くなるため嫌う人が多い)。
*カパオは、抗酸化作用、血圧調整、コレステロール値調整、血糖値調整、血液の循環をよくする、胃炎予防、炎症予防、ガス抜き作用、肝臓強化、痛み止め、抗菌作用、などの効能が期待できる、と言われる。
サムンパイ(タイ式生薬)では、吐き気、腹痛、腹の張り、咳止め、虫下し、母乳の出、発汗、解熱、長寿、皮膚病、虫除け、によいとされる。
メボウキ(ホーラパー)
スイートバジルの一種。カパオに似ている。最近はタイバジルとも呼ばれるようだ。
ケーン キオ ワーンやケーン ペット(辛子汁)に欠かせないハーブ。
このほか、パット マクアヤーオ(長ナスの炒め物)やパット ホーイラーイ(アサリ類の炒め物)、パッチャー(海鮮類を鉄板で焼いたもの)などによく合う。ケーンチュードの類(スープ)に散らしてもよい。
ムール貝のホーラパー蒸し(ヌン ホーイ マレンプー)、ホーラパー入り玉子焼き(カイチオ ホーラパー)もポピュラーな料理。
あまりメジャーではないけれど、鶏とホーラパーをパット バイカパオ風に炒めたカイパット バイホーラパーなる料理もある。
生でも香り味がよいため料理に添えて生食もされ、酒に入れる人もいる。
タイのバジル3姉妹(メンラック、カパオ、ホーラパー)の中では最も用途が広い。
*ホーラパーは、抗酸化作用、コレステロール低減、癌予防、などの効能が期待できるとか。
タイ生薬では、胃痛、胸焼け、発汗、食欲増進、痰切り、頭痛、関節痛、などによく、種は排便を促す作用があるそうだ。
*ホーラパーの種はメンラック同様水分を吸って大きく膨張する。
で、昔、日本ではこれを目に入れてゴミをとったことからメボウキ(目箒)と名付けられた、と書かれているけれど、本当にこんなものを目に入れたのだろうか。
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