カイヤーン ウィチアンブリー
日本人にはあまり知られていないのだけど、五つ星より古い有名フランチャイズ店がカイヤーン ウィチアンブリー。
50年ほど前、ペチャブーン県のウィチアンブリー郡〈ウィチアンの三叉路〉と呼ばれる交通の要所は、ほどよい木陰が多く、道行く人の休憩所のようになっていた。
その三叉路で中国から移住してきたおじさんが始めた焼き鳥屋がカイヤーン ウィチアンの元祖。

ウィチアンには手羽がない
五つ星は電気を使った丸焼きで、よくいえばジューシー。悪く言えば脂がくどい。
タレは、いわゆるナムチム カイヤーン(焼き鶏のタレ)と呼ばれる赤っぽいシロップのようなタレ。
対しウィチアンは開いた鶏を炭火で焼くため余分な脂が落ちてさっぱり。皮もぱりっとしている。
味付けは濃い目でタレはいらないくらいだけど、マカームピア(タマリンドペースト)をベースに砂糖、唐辛子を加えた黒いタレをつけてくれる。
カイヤーン フイ タップ タン
東北スィーサケート県の焼き鳥。
カイ サーム サーイ ルアドと呼ばれる3血統の鶏をかけ合わせた地鶏を使用。
ブロイラーのような柔らかさはない。
地元に自生するマイ マダン(オトギリソウ科の小木)で焼くのが特徴。
カイヤーン カオ スワン クワーン
東北コーンケン県、カオ スワン クワーン郡の焼き鶏。
若鶏を使用。タレはマカーム系。熱烈なファンがいる。
カイヤーン チャッカラート
東北ナコンラーチャスィーマー県チャッカラート郡の焼き鳥。
下味に五香粉や漢方系の香辛料を使用。香りが独特。
カイヤーン バーンダーン
中西部ラーチャブリー県クローンバーンダーン駅周辺の焼き鶏。
カイヤーンを山積みしたお盆を手に列車に乗り込み売り切るまで車内販売。売り切ったところで下車、帰りの列車に乗る、という商法で有名。
にんにくと胡椒の下味。肉が軟らかく3つに裂いた竹に挟んで焼くのが特徴。
などと、いかにも知った風なことを書いたけれど、実際にぼくが知っていたというか「ああ、あれか」と思い当たったのは車内販売のカイヤーン バーンダーンだけ。
タイ嫁もまったく知らなかったところを見ると、それほど全国的なものではないようだ。
そりゃそうだよね。無名でもそれぞれの土地にそれぞれおいしいカイヤーンがあるのだから。
ま、ウィチアンを含め、この5つを覚えていたらタイのカイ ヤーン通として自慢できるのは確か。

お頭付きのカイヤーン
ウィチアンの店がタイの至る所にある理由
家は町まで20キロある田舎なのに、国道沿いには簡素なカイヤーン屋が10軒以上散在するカイヤーンの激戦区。
家の一番近くのカイヤーン屋はウィチアン。
ウィチアンという名のカイヤーン屋は至る所で見かけるけれど、ウィチアンはフランチャイズではなく、お金を出してレシピと名前を買う昔風のシステムなので店同士のつながりはないし味もそれぞれ微妙に異なる。
近所のウィチアンのおじさんは30000Bでレシピを買ったといってた(話半分で実際には10000Bちょっとかな)。
「どうだい、お前さんも。30000Bで教えてやるぞ」
おじさん、ぼくに話を持ちかけてきたことがある。
レシピを売ってそれを横流しされたら本家には金が入らないのじゃないかと思っていたのだけど、金を出してレシピを買った人はそうそう簡単に人に教えたりはしないようだ。
実は、近くにあるカイヤーン屋10軒のうちの3軒がウィチアン。
近所のウィチアンと数百メートル離れたところに村のSおばさんがやっているウィチアンがあり、さらにその向こうにもう1軒。
意外にウィチアンの含有率が高い。
ある日、ふと気になって、Sおばさんに訊いてみた。
「おばさん、おばさんの店って、本当にウィチアンなの」
「うんにゃ。看板に書いとるだけだよ」
「……。」

ニセウィチアン
本家からレシピを買った正式店はどうやら1軒だけ。
こういう偽店はけっこうあるのでみなさんもお気をつけ遊ばせ。
見分ける方法は本物を食べて見ること。
やっぱり、おじさんのウィチアンの方がSおばさんの偽ウィチアンよりおいしい。
でも、たまに本物よりおいしい偽物があったりして。
タイってようわからんね。


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