《ドリアンVSジャックフルーツ》本当の果物の王様はどっちだ

果物

ジャックフルーツの種と呼ばれるスイーツはジャックフルーツの種ではなかった。ジャックフルーツの未熟果は野菜として扱われる。ジャックフルーツの色々な食べ方。など、世界一巨大な果物ジャックフルーツに関する雑学です。

 

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職人技!ジャックフルーツの種スイーツ

ジャックフルーツの種(メット カヌン)というタイスイーツがあります。
名前からしてジャックフルーツの種をシロップで煮ただけの安易なスイーツだろう、と思っている方がけっこういますが誤解です。
ジャックフルーツの種の正体は緑豆餡。
緑豆で餡を練り、形をジャックフルーツの種に似せた後、卵の黄身に浸してシロップで煮た、とても凝ったスイーツです。
ジャックフルーツの種はまったく使っていません。

左上の3つがジャックフルーツの種

左上の3つがジャックフルーツの種

味はとにかく甘い。すっごく甘い。ひたすら甘い。
甘い物ファンは見逃せません。
それにしてもカヌンの種そっくり。
知らなければすっかり騙されてしまいます。

ぼくも長い間、本物のジャックフルーツの種を煮た物だと信じていました。
ジャックフルーツのバラ売りに種が入っていないのも、食べやすいように、という売り子の配慮ではなく、「ジャックフルーツの種」にするため、取り出して別に売っているのだろうと思っていました(笑)。
妙なところで細かい芸を発揮するタイ人です。

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果物の王様はジャックフルーツ?

「ジャックフルーツこそが本物の果物の王様だ」
と言う人がときどきいるようです。
理由は「ドリアンより大きいから」だそう。
残念ながらドリアンとジャックフルーツとでは比較になりません。
相撲を見てください。
大きいだけじゃあ頂点にには立てないでしょ?
横綱、王様と呼ばれるには、味、香り、風格、つまり心技体がそろていないとだめなんだです。
ジャックフルーツは単なるデブ(ひどい言い方)。

これこそ王者の風貌

これこそ王者の風格

社会がどう評価しているかは価格を見ればわかります。
ドリアンは皮つきで1キロ150バーツ前後。
高い物は1個数十万円する高級果物です。
品種にもよりますがジャックフルーツはあまり商品価値がありません。
ぼくらの村で言えば買う物ではなくあげたりもらったりするものです。
というわけで果物の王様はやっぱりドリアンです。

無駄にでかいジャックフルーツ
世界一大きな果物ジャックフルーツ。人によっては果物の王様、めちゃうまい、と言います。そんな果物の本当の味、剥き方、扱い方、タイでの評価、に関しての話です。

タイ北部のおせち料理はジャックフルーツ

ソンクラン(水かけ祭り)は外国人に「水をぶっかけて面白がる祭り」と認識されているようですが、別名タイ正月(こっちが本名です)と呼ばれるように、本来、年の節目、まさしく正月なんですよね。

正月といえば、おせち。
ラーンナー(かつてタイ北部にあった国名。今でも北部人はこう呼びます)のおせちはラーブ チン(生血をぶっかけた生肉のタタキ)と未熟ジャックフルーツを煮込んだケーン カヌン。
ラーブは「幸運」という語につながり、カヌンのヌンは「支えられる」という語に通じます。
日本の昆布がヨロコ(ン)ブに通じ(ちょっと苦しいね)、ツブツブの数の子が子孫繁栄に通じる、というのと同じ。
ようするに験担ぎ。

女の人が大好きなジャックフルーツの汁

女の人が大好きなジャックフルーツの汁

味は、甘くも辛くも苦くもなく、ほんの少しチューインガムの匂いがして、食感はモゴモゴ。
ぼくはどちらかといえば苦手な料理ですが、タイ嫁はむろん、カレーやラーメンで育ったハイブリッドの娘たちも目がありません。
なぜか女の人に受けの良い料理です。

タイ北部ではジャックフルーツの未熟果(茶筒ほどの大きさ)を野菜として扱います。
汁のほかには、皮を剥いて軟らかく煮たジャックフルーツを唐辛子などとともに臼で搗いたタム マヌンも有名。
モゴモゴパサパサした食感が面白く日本人にも食べやすい北部の郷土料理です。

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未熟ジャックフルーツは腸の清掃員

食物繊維が豊富な未熟のジャックフルーツは便通をよくし、腸にへばりつく宿便をとるのによい、とタイでは信じられています。

けっこういけるタム マヌン

けっこういけるタム マヌン

一説によると、北部の人たちが1年に1度必ず家族そろって未熟のジャックフルーツ料理を食べるのも、腸の清掃を行い新たな1年が健康で過ごせるようにとの思いがこめられているそうです。
完熟のジャックフルーツは陰陽で言う「熱」の食べ物ですが未熟のジャックフルーツは「冷」。
老若男女問題なく食べられるとされています。

ジャックフルーツの色々な食べ方

このほかジャックフルーツには色々な食べ方がありますが、どれも今ひとつメジャーではありません。

ジャックフルーツ チップス(カヌン トード クロープ)

果肉片をそのまま揚げたタイプと削いで揚げたタイプがあります。
削いで揚げたものの方が食べやすく、そのままタイプは好き嫌いが分かれるようです。

硬くて年寄の歯ではきつかった

硬くて年寄の歯ではきつかった

ジャックフルーツ ライス(カオニオ カヌン)

マンゴー ライス(カオニオ マムアン)のジャックフルーツ版。
甘いココナツミルクをまぶしたもち米を稲荷寿司のように果肉に押し込んだ可愛らしいデザートです。
ジャックフルーツが好きな人にはたまらないでしょうね。

フライド ジャックフルーツ(カヌン トード)

フライドポテトのように揚げたジャックフルーツ。
フライドポテト同様、辛子ソースにつけて食べます。

激レアフルーツ チャムパーダ(チャンペダ)

タイでも南部以外の人にはあまり知られていないのですが、チャムパーダという果物があります。
一見、ジャックフルーツそっくり。
でも、南部の人に、
「何だ、ジャックフルーツじゃないか」
というと、
「違う、これはチャムパーダだ!」
と強く否定されます。

チャムパーダはジャックフルーツに比べ小型で皮が薄い上、ヤニがないので剥きやすい。
中にはユムと呼ばれる可食部分が十数個ぐらいしか入っていません(ジャックフルーツは百近くある)。
色々な食べ方があるようですが、種ごと揚げたチャムパーダ トードは、バナナのフライよりうまい!と言われています。

以上。

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