ナームドークマーイばかりがタイ
マンゴーではありません。ガー、
ピムセーン、テープニミット、
タワーイなどなど。タイには170種
以上のマンゴーがあり、60種以上
ものマンゴーが出回っています。
今回はその中から5種をご紹介。
芳香漂うマハーチャノック
日本人に人気の高いマハチャノ、マハーチャノック マンゴー。
一般的なマンゴーより細長く、熟れてくると赤オレンジに色づいて桃に似た芳香を放ちます。
面白いことにこの香り、タイの人たちにとってはあまりよい香りではないらしく、タイ国内ではそれほど人気がありません。
おかげでほかのマンゴーより安価。
タイではマハーチャノックが思う存分食べられますよ。
マハーチャノックの熟れ具合の見分け方
マハーチャノックの熟れ具合を見極めるのはなかなか難しいです。
皮が厚めで外と中の熟れ具合に差があるし、果肉も均等には熟れません。
実が硬くまだ未完熟に見えるのに中が痛みかけていた、なんてこともよくあります。
香りが漂ってきたら試しに切ってみた方がいいかもしれませんね。
マハーチャノックの旬
マハーチャノックは主流品種のナームドークマーイが旬を終える5月頃、入れ替わるように出てきます。
旬はけっこう短めなので見かけたら即買いですね。
名前に関するエピソード
マハーチャノックはサン セット種とナン クラーン ワン(北部ではマムアン ガー)種をかけあわせた比較的新しい品種。
「偉大なる父(古代インドの王を指すらしい)」の意味です
仏陀前生にまつわる話を前タイ国王がわかりやすく訳して執筆し、国王を称える意味も兼ねてこの名が捧げられたとのこと。
タイの人たちは新種を王様に謙譲して名付けてもらったり、王室関連の名前を捧げたりするのが好きなんです。
どこぞのサイトには、マハチャノとはノコギリの意味、とあってびっくり仰天。
いったいどこからこんな珍訳がでてくるのかな。不思議だわあ。
マハチャノとマハラジャの関係
日本ではマハー チャノックを「マハチャノ」と呼ぶ人がいるのを知り、笑ってしまいました。
マハラジャに似た語感が面白い。うん。
知ってますか?バブル時代一世を風靡したディスコ、マハラジャ。
マハチャノ、マハラジャ、似てますよね。
それもそのはず、両語ともインドのパーリ、サンスクリット語系が語源。
タイ語はこれらの言語からの借用語が語彙の大半を占めています。
ちなみに、マハー チャノックは、マハー(偉大なる、大)チャノック(父)。
マハラジャはタイ語で マハー ラーチャー。
マハー(偉大なる、大)ラーチャー(王)の意味です。
マハチャノもあながち誤りとはいえません。
マンゴーツウが愛したオックロン
一昔前の世代のマンゴーツウはいいます。
「マンゴーは木で完熟したオックロンに限るね」
近年、完熟マンゴー市場は癖がなくて万人向けのナームドークマーイ種にすっかり席巻されてしまいましたが、以前はオックロンという品種が主流でした。
ちなみにオックロンとは「溝胸」の意味で、側面に桃のような溝があるのが特徴です。
忘れられないオックロンの味
カオニオ マムアン(もち米マンゴー、マンゴーライス)ツウも愚痴ります。
「カオニオ マムアンてのはね、オックロンともち米のことを言うのよ」
「そりゃあ、ナームドークマーイはすべすべしてきれいで、大きくて、果肉もたっぷりよ」
「でもね。香りがない。甘味が薄っぺら。魅力に欠けるのよ」
「オックロンはね、ドークマーイのようにバカでかくないから果肉は少ないし、引っかかりがあるけど、鼻に抜ける香りがよくて、甘さが濃厚で、独特の魅力があるのよ」
「オックロンを添えてこそのカオニオ マムアンなの」
希少になったオックロン
ぼくは昔、オックロンばかりバカのように食べていました。
もう一生食べなくていいくらい。
何しろ1キロ10Bで、ドークマーイなどまだ出回っていませんでしたから。
今は品薄で信じられないくらい高くなっているようです。
オックロンを栽培していた人たちがみな人気のナームドークマーイに切り替えてしまったんですね。
タイのマンゴー好きにこよなく愛されたオックロン、運良くみかければぜひ味わってみて下さい。
いくつか品種がありますが、本来のオックロンの旬は4月、5月です。
ダンベル代わりになりそうなキオヤイ
隣の人から庭になっているマンゴーをもらい腹を立ててます。
このマンゴー、キオヤイ(でか緑)という比較的新しい品種。
大きい物は1キロを超えるでかマンゴー。
そんなやつを3個も押しつけられてしまいました。
冷蔵庫にはマハーチャノックが3個とキオサウーイという青マンゴーが2個。
さすがにうんざり。
完熟キオヤイにびっくり
キオヤイは基本、青いうちに食べます。
ソムタム(パパイヤサラサ)にもよさそう。
たぶん、完熟してもあまりおいしくないはず。
で、甘ナムプラーにでもつけて食べようと渋々剥いたところ、
あちゃあ。
すでにかなり熟れている。
ま、でもこれでまずければ捨てればいいのだし・・・。
パクリ。
「なんてこった。うまいじゃないか」
甘ああいおつゆにほんの少し酸味が混じったドストライクの味。
ますます腹が立ってきました。
捨てるに捨てられない。
ええい、こうなりゃ食ってやる!
と必死にかぶりついてみたものの、当方齢60のおじいちゃん。
半分にも達しないところでギブアップ。
まったく、キオヤイは場所をとるし1回では食べきれないし、誰だこんな無駄にでかい品種を作ったのは!
もっと評価されていいマムアン ケーオ カミン
マムアンはマンゴー。ケーオはたぶん玉。カミンはウコン。
ウコン色(タイ僧侶の僧衣の色、カレーの色)の玉マンゴー。
日本の方には馴染みがないでしょうが、タイではまあまあ知られている品種。
ただ、例のナームドークマーイ種の人気が圧倒的であまりみかけることはありません。
このマンゴー、青マンゴーとしても完熟マンゴーとしても食べられます。
青マンゴーはまだ食べたことがないのですが、マン(酸味がおだやか)タイプで評判は悪くありません。
完熟果は皮がやや厚く、その名の通り色が濃いめ。
甘くてナームドークマーイ種にはないマンゴーらしい香りがあります。
肉質はしっかりしていて崩れにくい。
包丁を入れるとジャリッ、ジャリッと音がします。
なるほど、繊維が多少太いらしいです。
カオニオ マムアン(マンゴーライス)には向きませんね。
でも食べるときはまったく気づかない程度だし、何より風味がいい。
マハーチャノックに少し似たところがあり、ぼくはけっこう好きです。
シーズンの締めくくりはチョークアナン
タイの完熟用マンゴーは2月のナーム ドークマーイに始まり4月にはほとんどの品種が旬を迎えます。
5月はオックロン、マハーチャノック。
そして6月、チョークアナンによって、マンゴーシーズンの幕が閉じられます。
チョークアナンは野趣に富んでいるというか味に緻密さがなく、なんとなくがさつな気がしてぼくは滅多に手を出さないのですが、6月にもなるとほかのマンゴーが手に入り辛くなるのでシーズンのお別れの意味を込め食べることがあります。
確かにドークマーイに比べれば今ひとつであるもののそう悪くもありません。
「安いし、うめえ」
田舎の人たちはこのマンゴーが大好きです。
*************
わたくし、シーズン中は毎日、昼と夕の食後、庭に出てジュースがぽたぽた滴る甘ああい甘あああいマンゴーを頂いております。
「タイに暮らしてああよかった」
と、このひとときばかりは無条件に思うしだいであります。
コメント