タイの伝統的挨拶は手を合わせて相手を拝むワイ。タイに滞在していると外国人も様々なところでワイに出会います。果たして日本人もタイ人に合わせてワイをした方がよいのかどうかという問題と正しいワイの仕方について。
拝んで挨拶
仏教国でよく見られるように、相手に向かって手を合わせ合掌するのがタイの伝統的挨拶です。
これをワイといいます。
ワイはただ手を合わせればよいというものではなく、社会的地位、年齢、敬意を表す程度によって手の位置が変わります。
目の合った瞬間に自分の立場を考慮し、それに応じたワイをしなければなりません。
手の合わせ方 - 合掌(アンチャリー)
どうして人は手を合わすのか。
右手は神聖、左手は不浄。その両者を一体させるところに人間の真の姿がある、とタイ日大辞典には説明してあります。
ワイをする場合、手のひらをべったり合わせてはいけません。
まず両手の指先を合わせ、手のひらで卵を挟む感じ。
タイ語の本にはよく「ハスの花のつぼみのように」と書かれています。
手の位置で敬意を表す - ワイの法則
基本、ワイには3レベルがあり、敬意の度合いが高いほど親指の位置を上に上げます。
お辞儀の角度が深いほどよいとされる日本と真逆ですね。
それからワイは下から上、敬意を表す方が先に手を合わす、とされています。
レベル1 最高位のワイ
仏像、お坊様を拝む場合のワイです。
最も敬意を表さなければならない対象なので合掌した親指の先を身体の最上、眉間の辺りに持ってきて少し深めに頭を下げます。
レベル2 高位のワイ
両親、親族、先生、敬意を表す人に対してのワイです。
親指の先の位置は鼻先。
人差し指の先を眉間に触れる感じにやや傾け、普通に頭を下げます。
レベル3 通常のワイ
単なる知り合いとかお互い同等で特に敬意を表すこともない場合の一般的なワイです。
親指の先をあごの先。人差し指の先を鼻先近辺にもってきて軽く頭を下げます。
ここがポイント
・通常はまっすぐ立ちますが、女の人はどちらかの足を少し引き、しゃがみつつワイをすると優雅です。
・外国人がタイ人の真似をしてよくやりがちなのが脇を開け過ぎること。
「脇を締めろ」スポーツの基本はワイにも適用されます。
ワイの受け方
ワイを受けるには、相手が年下、部下などの場合には、胸前で手を合わせます。
敬うべき相手が先にワイをしてきた場合(選挙運動とか)には手の位置を先のように高くして頭を下げます。
日本人はワイをすべきか
タイに滞在していると様々なところでワイに出会います。
タイの人たちに対し日本人は慣れないワイをするべきなのでしょうか。
まず、ホテル、レストラン、スーパー、デパート、コンビニ、など客に対するワイにはわざわざワイを返す必要はありません。
軽く会釈をすれば十分です。
あ、それから、ワイというのは基本、下から上に行うものなので、タイ国内ではお客さん的立場である日本人からタイ人へ先にワイをすることはあまりないのではないかと思います。
外国人がよくやる失敗です。
特にサービス業者や年下の者にこちらからワイをしてはいけません。
相手も困ってしまいます。
では、普通の人はどうでしょう。
普通のタイの人が普通にワイをしてきた場合。
相手と場合によりけりですが、基本、お辞儀でよいと思います。
理由は、タイ人が外国人にワイをするのはその人の気持ちを表しているだけで、外国人にワイを期待しているわけではないから。
タイ人がワイに関したマナーで失礼だと腹を立てるのは相手がタイ人だった場合です。
たとえば、対等な立場でありながら自ら進んでワイをしたのに、相手がワイをしなかったりぞんざいなワイを返してくればこれは怒ります。
でも外国人に対してはもともとワイを期待していませんし、タイと外国では習慣が違うことをタイの人たちも知っていますからね。
つけくわえれば、外国人がワイをしたからといって取立てて感心されることもありません。
ワイをした方がいい場合
では、ワイをした方がよいのはいったいどのような場合なのでしょうか。
すっかり世話になってしまって心よりお礼が言いたい、こういう場合はお辞儀よりワイの方が思いが伝わるような気がします。
それからステータスのある人にワイされた場合。
お辞儀ではさすがに失礼かなあとか思ってしまいます。
役所のお偉いさんもワイの方が良いかもしれませんね。
ぼくはけっこうタイに長く暮らしてますが、ほとんどワイをしたことはありません。
たいていお辞儀で済ませてしまいます。
ワイされて思わずワイを返したのは、ステータスのある人にワイされたときと、小学校の校門で娘を待っていたとき、校門から出てきた児童たちにワイされたときぐらいです。
どうやら児童たちはぼくを先生と間違ったようで、このときばかりはしっかりワイを返しました。
ワイする子供って本当に可愛い。
普段はそれほでもありませんが(笑)。
伝統文化崩壊を嘆く高齢者とグローバル社会を生きる若者
中高年の人たちは「微笑みの国タイも麗しき習慣ワイも消えつつある」と嘆きます。
どうやら最近の若者は以前ほどにはワイをしなくなってきているようです。
でもそんなもんですって。
ぼくらが若いときもさんざん「今の若い者は」と言われて来ましたが、歳取った今、若い人たちに同じ言葉を言いたくなりますものね。
「恥ずかしい」 「面倒」などの理由であまりワイをしなくなった若者、自分に子供ができて親になると子供にはワイを教えたくなるらしく、近年は「ワイの仕方」というユーチューブが人気で、親たちはそれを見て正しいワイの仕方を学んでいるそうです。
いやはやなんとも。
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