世界一大きな果物ジャックフルーツ。
人によっては果物の王様、めちゃうまい、
と言います。
そんな果物の本当の味、剥き方、扱い方、
タイでの評価、に関しての話です。
世界一の巨体フルーツ
タイにはジャックフルーツ(カヌン)という果物があります。
世界一大きい果物として有名です。
一個が30キロ以上。
30キロといえばあなた、生まれたての赤ちゃんが約9人分。
スイカがいくら大きいたってせいぜい1人か2人分。
そんな巨大な実が、たいして太くもない幹から直接ボロンボロンとぶら下がっています。
映え必至の顔比べ
カヌンは全身小さなぶつぶつに覆われ、爬虫類の皮膚を思い起こすような怪異な風貌。
その姿を初めて目にした人は度肝を抜かれてしまい、気を取り戻した後、必ず写真を撮ります。
それも普通に撮るのではなく、手頃な高さになっている実の側に立ち、顔を寄せて自分とカヌンの大きさ比較写真を撮ります。
これはもう条件反射といってもいいくらい巨大カヌンを見かけた人がとる行動。
もちろんぼくも昔、何枚も撮りました。
一見の価値ある果物です。
ジャックフルーツはおいしいか
巨体の中にはトウモロコシの粒を巨大化させたような果肉片が100以上収まっています。
その味はと申しますと、弱い酸味を含み甘い。
弾力のあるしっかりした食感。
しっとりしていますがジューシーさはあまりありません。
繊維に沿って手で割いて食べることも可能です。
香料のきついガムのような甘ったるい匂いがあり、これを「香り」と受け取る人はカヌンの虜になってしまいます。
保存は気にしなくて大丈夫
カヌンの果肉はあまり変質しません。
時間が経っても外見上ほとんど変化がなく色鮮やかな色のままです。
容器、あるいはラップをして冷蔵庫に入れておけばけっこう持ちます。
ジャックフルーツを剥く商売
タイには「カヌンの剥き売り」なる職業があります。
ようするにカヌンを仕入れてきて皮を剥き種を取り出した果肉を売る人のことなのですが、どうしてこんな職業がなりたつかというと、一つにはやはりその大きさ。
一個売りだと買った人はその時点でほかの買い物を諦めないといけないし、持って帰るのに一苦労。
いや、それ以前に持ち上げることができるかどうかですよね。
カヌン売りのおばさんなんて、
「子供を抱っこする方がまだ楽だわ」
と愚痴っていました。
実を取り出すのはマジ大変
さらにはこの果物、とても剥きにくい。
爬虫類の皮膚にも例えられるぶつぶつの外皮に包丁を入れると、ボンドに似た白い液が次から次へと滲み出てきます。
これがべとべとくっつき始末に悪い。
時間が経つと本物のボンドのように固まり、とれなくなってしいます。
使った包丁は磨いて元通りにするより、捨ててしまった方が早いのじゃないかと思うくらい。
そのねばねばと戦いつつ、果肉にまとわりつくもろもろを丁寧に取り外すのは1片でも大変なのに、100片近くもの果肉を処理しなければなりません。
カヌン剥きのおばさんは、
「何個か剥けば慣れちゃうよ」
というのですが、キーキアド(面倒だ)が口癖のタイの人たちです。
そんなことに時間を費やすくらいなら食べなくてもいいや!と思う人は少なくないでしょう。
ちなみに、べとべとを防ぐには剥く前に包丁と手に植物油を塗っておくことだそうです。
一個買いする人はいないと思いますが・・・。
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ジャックフルーツがよく庭に植えられている理由
カヌンは縁起の良い果物とされ、庭に好んで植えられます。
その理由は、カヌンがヌン ヌアン(どんどん増援、後援される)、サナップ サヌン(援助、支持される)、ミー コン ウッヌン(援助協力してくれる人がいる)に通じるから。
タイ人はこの手の語呂合わせが大好きなんです。
衝撃!ジャックフルーツの破壊力
北部でもカヌンは各家に一本はあるんじゃないかと思うくらいポピュラーな木。
しかもたいてい隣家との境に好んで植えられます。
家の東隣のカヌンもブロック塀のすぐ側に生えていて、枝ばかりか大きな実までがこちらの敷地にぶらんぶらん。
それを隣家のおじさんがブロック塀に上り採ろうとしたところ、手が滑り下にあった我が家の水道の蛇口を直撃。
塩ビの水道管ごとぶち折てしまいました。
見ていたぼくはその破壊力にびっくり。
蛇口でよかったあ。
折れた水道管から吹き出る水を見ておじさんがいいました。
「直してやるから水道管買ってこい」
おいおい、誰のせいでこうなったんだ。
田舎の人というのは損をするのが死ぬほど嫌いで、こういう場合でもまず金を出そうとしません。
ちなみに隣家からはみ出している木の枝を勝手に切ったり実を取ったりすることは法律上禁止されていいます。
迷惑この上ない、と思われるかもしれませんがこちらの木も隣家にはみ出しているのでおあいこです。
ジャックフルーツは売り物にならない
南隣の家のカヌンはちょうどぼくの部屋のすぐ横にあって、実が熟してくると強烈な匂いを発するようになります。
村ではこの果物は売れないし、とてもじゃないが食べきれません。
結局、ほとんどの実は熟して落下、隣の人はそれをせっせと地面に埋めています(臭いので何とかしてくれと頼みました)。
日本ではけっこういい値段がするのに、もったいないといえばもったいないですよね。
何とかならないかその図体
カヌンにも色々種類があって、ときどき近所の人が優良品種の赤色カヌン(デーンスリヤ)の切り身をおすそ分けしてくれます。
というより、処置に困って持ってくるんでしょうね。
切り身とはいえスイカの大玉ぐらいあるので、幾つかに切り分け冷蔵庫にいれておくのですが、切り身はしばらく冷蔵庫を占拠した後、こっそり川に捨てられることになります。
つくづく、無駄にでかいやつです。
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