トムヤムに入れてよし、炒飯に混ぜてよし、トーストに塗ってよし。タイ料理に欠かすことのできない調味料ナムプリック パオについての話。
ナムプリック パオって何?
ナムプリックは「唐辛子の水」の意味。
そのままご飯にかけて食べるタイプと料理に味噌のように溶いて使われるタイプ(プリック ケーン)がある。
ナムプリック パオはその中間のようなナムプリック。
そのままでも食べられるし調味料として用いることもできる。
トムヤムクンのスープが赤い色をしているのはこのナムプリック パオを入れているため。
用途が広い万能調味料なのでタイ人の台所にはたいてい市販のナムプリック パオの小瓶が置いてある。
*ナムプリック パオのパオは「焼く」の意味。
チリ イン オイルなどと呼ばれることもある。
*ナムプリック パオを入れたトムヤム クンは濃厚味(ケムコン)と呼ばれる。
家はトムヤム クンにナムプリック パオは使わない。
ハーブをこれでもかと放り込んだた超酸っぱい清味(サイ)が好みである。
ナムプリック パオの主成分と味
ナムプリック パオは基本、唐辛子、シャロット、ニンニク、油で成り立っている。
台所にあったナムプリック パオの瓶のラベルを見てみると、砂糖25%、大豆油15%、シャロット15%、ニンニク15%、乾燥唐辛子10%、ナムプラー10%、干しエビ5%、タマリンド4%とあった。
辛味、甘味、旨味のそろったタイ人の大好きな味。
市販のものは辛さ控えめで甘さが前に立つ。
ナムプリック パオを入れると料理が濃厚になり味に広がりが出る。
ナムプリック パオの選び方、買い方
ナムプリック パオはスーパー、コンビニで簡単に手に入る。
1瓶40~50バーツ程度。
メーカーによってかなり味、香りが異なるので幾つか試し自分の口に合ったものを選ぶこと。
お勧めに意味はないと思う。
人がいかにお勧めしようが口に合わなければどうしようもないものね。
ちなみにぼくは甘さ控えめ油控えめが好み。
《食べ方使い方》 ご飯とナムプリック パオ
一番簡単なのはご飯にまぶして食べること。
おかずがなくてもこれさえあればご飯が食べられる。
桃屋の「ご飯ですよ」みたいなものだろうか。
そのまぶしたご飯を炒めれば激旨タイ風炒飯、カオパット ナムプリック パオが出来上がる。
カオパット ナムプリック パオは日本人にもファンが多い。
タイ最北の町メーサーイではナムプリック パオを塗った薄い焼き餅が屋台で売られタイ人に人気である。
ナムプリック パオ餅は意外においしい。
嘘だと思うのならお正月にでも餅に塗って見て下さい。
ぼくは好きじゃないけど(笑)。
《食べ方使い方》 パンとナムプリック パオ
トーストにナムプリック パオを塗ったカノムパン ナー ナムプリック パオはナムプリック パオ定番の食べ方。
タイ人はご飯のみならずパンに塗って食べるのも大好きなのである。
菓子パンにもよくナムプリック パオを塗ったものがあって知らずに食べた外国人がびっくりしているようだ。
《食べ方使い方》 麺類とナムプリック パオ
家ではときどきうどんに混ぜて食べている。
といってもタイうどん(クエティオ)のスープにカオソーイの白麺を入れたうどんモドキだけどね。
カオソーイの白麺はタイの麺類の中で一番うどんに近い食感。
これにナムプリック パオをほんの少し入れると味が激変。
タイ日大辞典でナムプリック パオを引いてみたら同じ事が書かれていたので笑った。
おいしくするコツは入れすぎないこと。
ぼくは小さじに1杯弱入れている。
タイ嫁はレンゲでごっそりすくって混ぜるけれどね。
ナムプリック パオで味噌汁もトムヤム化
タイを代表する麺類クエティオにはトムヤム味(クエティオ トムヤム)というのがあるけれどご存じだろうか。
実はあれ、ナムプリック パオを入れてライム(マナオ)を搾っただけ。
本来のトムヤムとはまったく違うものの似た味にはなる。
この組み合わせ、何にでも使えるから身近な料理をトムヤム化して遊べるぞ。
味噌汁に入れればトムヤム風味噌汁。
雑煮に入れればトムヤム風雑煮。
合うか合わないかは知らないけれど人を驚かすことはできそう(笑)。
*以上はすでにできあがっているものにナムプリック パオを混ぜたり塗ったりする使い方だったけれど、炒め物、ヤム(ライム和え)、汁物など、調理の過程で加える使い方もある。
また、目玉焼きに垂らす、野菜につける、など、ナムプリック パオはとても用途が広い。
*タイ嫁の料理はたいていナムプリック パオを入れ過ぎなのでナムプリック パオの味ばかりが表に立ってあまりおいしくない。
そのせいで最近はナムプリック パオが少し鼻についてきた。
個人的にはナムプリック パオは隠し味的にほんの少し加えるのがよいと思う。
トムヤム風挽肉インスタントラーメン
インスタントラーメンにナムプリック パオを加えれば濃厚でピリっと辛いタイ風味に仕上がるぞ。
材料
インスタントラーメン 1袋
挽肉 50g
ナムプリック パオ 大さじ1
ナムプラー 小さじ2
ライム 1片(適宜)
ゆでタマゴ
刻みネギ、唐辛子 適宜
作り方
・麺を煮て取っておく
・沸騰した湯に調味料1/2袋、ナムプリック パオ、ナムプラーを入れ、挽肉を投入。
・肉が煮えたら麺の器に注ぎ唐辛子、ネギを散らしライムを搾りゆでタマゴをトッピング。
ナムプリック パオの作り方
余計なものを入れないとてもシンプルなナムプリックパオのレシピ。
好みによって砂糖やタマリンドの汁を加える。
材料
・乾燥唐辛子 75g
・干しエビ 75g
・シャロット 200g
・ニンニク 125g
・塩 小さじ1
・大豆油 適宜
作り方
・乾燥唐辛子をきれいに洗い、水を切って刻む。
・ニンニク、シャロットを粗く刻む
・ニンニク、シャロット、唐辛子を別々に炒める。
・まず乾燥唐辛子を臼で搗きニンニク、シャロット、干しエビを入れてさらに搗く。
ミキサーやフードプロセッサーを使っても大丈夫。
・たっぷりの油で炒める。中火。
・レシピでは乾きすぎないように水を加える、とあるのだが普通は水を加えない。この辺は臨機応変に。
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ナンプリック パオじゃねえのかよ!
日本では通常、ナムプラーをナンプラー、ナムプリックをナンプリックと表記している。
ナム(ナーム)は水のことだから絶対にナムでなければならない。
と、年寄りがいくら腹を立てたところで仕方ないので調べ物をするのに「ナンプリック パオ」と入力したところ「もしかしてナムプリック パオ?」とグーグル様に聞き直された。
ええ加減にせいよ!
何で統一せえへんねん。
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