焼きナマズの身をほぐして叩きふわっと揚げたものに青マンゴーやシャロットを入れたタレをかけて食べるヤム プラードゥック フー。知る人ぞ知る絶品ヤム料理(スパイシーサラダ)の話。
天かすのライム和え?
「なんじゃこりゃ」
ヤム プラードゥック フーを初めて見た人はたいてい首を傾げる。
ナマズとあることから魚料理であるのは見当がつくものの肝心の魚が見当たらない。
全体としては巨大な掻き揚げ。
でもお皿にのっているのは野菜も何も入っていない衣というか天かすのようなものばかり。
そう、この天かすこそがナマズ。
ヤム プラードゥック フーとは
ヤム プラードゥック フーとは、軽く焼いたナマズの身をほぐして叩きふわっと揚げたものに青マンゴーやシャロットを入れたタレをかけて食べる料理。
ふわっと膨れた(フー)ヒレナマズ(プラードゥック)をライムで和える(ヤム)からヤム プラードゥック フー。
ヤム プラードゥック フーの味
その味はというと、うまい。
カリッと揚がった膨れナマズにライムとナムプラーベースの辛くも甘酸っぱいタレ。
爽やかな青マンゴーとしゃきっとしたシャロット。
こってりとさっぱり、相反するものが見事に融和。
上にぱらりと散らしてあるピーナッツの食感も心憎い。
おすすめタイ料理の一つである。
ヤム プラードゥック フーの食べ方
ヤムというと日本人はたいていヤム ウンセン、春雨のヤムを思い浮かべる。
ヤム ウンセンは家庭でもよく作る日常料理。
ヤム プラードゥック フーは家庭でもできなくはないものの手間がかかるため料理店で食べることが多い。
1皿100~200バーツぐらいのちょっぴりご馳走。
ヤムは「混ぜる、和える」の意味で春雨のヤムなどは最初からタレと春雨を混ぜているけれど、このヤムは揚げたナマズと青マンゴーなどの入った和えタレが別皿で出される。
タレをかけておくとせっかくのカリカリ感が失われてしまうから、タレをかけながらすぐさま頬張り口の中でヤムにするわけである。
ヤム プラードゥック フーはどこまでもカリカリにこだわった料理なのだ。
本当に美味しかった昔のヤム プラードゥック フー
昔のヤム プラードゥック フーはとてもうまかった。
きちんと焼きナマズを使い、その証拠のためかあるいは飾りのためか皮の上に揚げた身をのせ頭と尻尾をあしらっていた。
手抜き流行りの昨今、ヤム プラードゥック フーも色々簡略化や節約が行われている。
まず、ナマズを焼かずにゆでる。
炭は高いし火を熾して焼くのはとても面倒だ。
もうこの段階で味に大きな差がついてしまう。
そしてそのゆでてほぐした身にパン粉を混入。
うまくふわっと揚げられると同時に増量もできるというわけだ。
でもこれをやるとそれこそ天かすを食べているようなヤム プラードゥック フーになってしまう。
経費が上がっているのに料理はそれほど値上げしていない事情があるから仕方ないといえば仕方ないのだけれどね。
残念なことに昔ながらのまっとうなヤム プラードゥック フーを出す店はずいぶん減ったとのことだ。
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