音を立ててスープを飲まない
タイでは基本的に音を立ててめんをすすったりスープを飲んだりするのはよくないとされている。
実際にはそんなことを気にする人はあまりなく、けっこう、音を立てているものの日本人ほど盛大に音を立てることはない。
日本にいてはわかり辛いけれど、日本人のスープをすする音は想定外に凄まじくさすがのタイの人たちもびっくりしてしまうので気をつけて欲しい。
鼻をかまない
タイ人は食事中に音を立てて鼻をかまれると吐き気がするという。
タイ料理は辛い。辛さに弱い人は鼻水が出るだろうけれど、欧米人のように派手な音を立てて鼻をかまないように。
なるべく音を立てずにこっそりと拭き取る。
スプーンをペロペロなめてから料理をすくうマナー知らずのタイ嫁もこれだけはとても嫌がる。
家に来たお客さんに再三鼻をかむ人がいて、
「タイで食事中に鼻をかむのはあまりよくないんですよ」
と、やんわり注意したのだけれどわかってもらえなかった。
もしかするとペロペロスプーンをなめるタイ嫁への仕返しだったのだろうか(笑)。
タイ人はこういう場合、何もいわず健気に耐えるけれど、なるべくなら止めて欲しい。
食べ残し問題
タイ料理が味濃く辛いのは少量で主食の米をたくさん食べるためで、食費の節約に貢献している、と言われてきたのだけれど、現在のタイの人たちは食べきれないほどの料理を作り余ったものは惜しげもなく捨ててしまう。
出された料理をきれいに平らげることも一般には美徳とされていない。
たとえば、食事に招かれたとき余さず食べてしまうと「足らなかったのだろうか」と主人側を心配させてしまうので、わざと残すのがマナーだ、とさえ言う人もいる。
主人側も、人をもてなすさいはとにかく余分に作り余ったものは捨ててしまえばよいと考える。
料理が足らなくなってケチ!と陰口叩かれ、面目を潰すことを何より恐れるのである。
こういう習慣があるせいか一部の人たちを除けば料理店でも料理をきれいに食べきる人は少ない。
反対に余さず食べると店のおばさんが訝って、
「おばさんの料理、少な過ぎたかい?」
と訊かれることもあるくらいだ。
恐らく、タイの人たちからすれば、ご飯を一粒残さず食べてしまうのは満腹になっていないことを訴えているようで何だか浅ましいように思えるのだろう。
めん類のスープなども普通は全部飲んでしまわないものである。
というわけで、作った人に悪いと思い頑張って食べきってしまう人がいるけれどそういう心配は要らない。
もっとも、最近の日本人は平気で食べ残す人が多いようだが…。
食べ残し問題はタイ人の間でも意見が分かれている。
タイ人の書いた食事のマナーを見ると「料理を食べ残してはいけない」と書かれているが、現実には食べ残し派が大勢で食べ切り派は少数である。
結局、家庭での躾の有無によるようだ。
一般に日本人は食べ残しを汚いと感じ、きれいに食べきったものをきれいと感じる。
しかし、タイの多くの人はそういう感覚を持ち合わせない。
むしろ、きれいな皿に浅ましさを感じてしまう。
こういう感覚は絶対的なものではなく、育ってきた環境に左右されるということだ。
マナーとは何か
マナーとは何かということを考えてみると、決められた型、所作を守ることではなく、同席する人の嫌がることをしないのがマナーであるとぼくは思う。
それから、違うマナーを持っている者同士が食事をする場合、その土地のマナーに合わすべきだとも思う。
中国人は自分たちのスタイルを貫き通すけどタイ人はけっこう柔軟でなるべく現地のマナーに沿ったふるまいを心がける人が多いように感じている。
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