タイ人が家に王様の写真を飾る理由と王様の正式名称

文化

タイ人の家には必ず王様の写真が飾られてある。この習慣が始まった理由と、タイの王様の正式名称、バンコクの正式名称はとても長い、という話。

 

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建国以来の王国タイ

タイは建国以来の王国だ。
絶対王制は七百年に渡って続き、国土のあらゆるもの、国民はすべて王の所有下にあった。
1932年6月24日、立憲革命で絶対王制は一応終わりを告げたけれど、それはシステムが少し変わっただけのことで人々の王室に対する敬愛の度というのは依然深い。
本当に王様あってのタイなのだ。

タイ人が家に王様の写真を飾る理由

タイ人の家の中にはたいてい現国王夫妻の写真や人気の高いチュラーロンコーン大王の肖像画が飾られている。
いつ頃からこういう習慣ができたのかはっきりしていないのだけれど、一説には、タイ系以外の人たちが、「私たちも王様の下にいるタイ人なのだ!」
ということを誇示するために始めたのだという。
写真は額縁屋で売られている。

タイに暮らす人はなるべく飾っておこう。
それを目にしたタイ人の心象がよくなって思わぬ効果がある(本当だよ)。
もちろん家にも飾ってある。
ただし、飾る場所には注意。
王様が左、王妃が右なので間違えないように。

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無茶苦茶長い王様の正式名称

ところで、伝統的にタイの王様の名前はとても長い。
現在タイの王様はラーマ10世。
通常はワチラーロンコーン王と呼ばれているけれどこれは略称。
正式名称は、プラバート ソムデット プラ パラメーン タラ ラーマーティボディー スィースィン トーラ マハー ワチラー ロン コーン マヒ ソーン プーミポン ラーチャワラーン クーン キティスィリ ソムブーン アドゥン ヤ デート サ ヤーム ミン トラー ティ ベート ラード ワ ロードム ボーロム マ ナート タ ボーピット プラ ワチラ クラオ チャオ ユー フア。

長い上に語が難しくてタイ人でもよほど学がないと正しく読めない。
正式名称はあまりに長く実用的ではないため実際には少し略し、プラバート ソムデット プラ パラメーン タラ ラーマーティボディー スィースィン トーラ マハー ワチラー ロン コーン プラ ワチラ クラオ チャオ ユー フア という名称が使用されている。

タイ国民の記憶力がよいのには理由がある?

ちなみに前国王、ラーマ九世をタイ国民が口にするときは、プラチャオ ユーフア(国王陛下)だが、もう少しきちんというと、プラバート ソムデット プラチャオ ユーフア プーミポン アドゥンラヤデート である。
公の場で王室の方々に言及するときは略称を用いるのはよくないらしく、たとえば毎日夜八時頃から各テレビ局は王室アルバムを放送しているのだが、アナウンサーは「プラバート ソムデット プラチャオ ユーフア プーミポン アドゥンラヤデート」と何度でも口にする。プロである。
でもやっぱり、ときどき舌をもつれさせて「失礼いたしました」と謝っているアナウンサーもいる。

ラーマ9世の正式名称は、 プラバート ソムデット プラパラミンタラ マハー プーミポン アドゥンラヤデート マヒタラーティベート ラーマーティボディー チャックリーナルーボーディン サヤームミンタラーティラート ボーロム マ ナート ボピット という。これでも歴代の王様の中ではもっとも短い。

立派なタイ国民であるためには、歴代王様の正式名くらい諳んじているのが常識。
昔だったら名前を噛んだり間違ったりすれば牢獄行きである。
記憶力が悪いとタイ人になれないのだ。

ついでに、昔の人々は王様から何かたずねられると
「プラプッタ チャーオ カー コーラップ サイ クラーオ サイ クラモーム」
と、答えた。
日本語に訳せば「ハイ」である。

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タイの四大王

過去、多くの王様がいたわけだけれど「大王」の称号が贈られた王様のうち、とりわけ敬愛されているのは、ラームカムヘン、ナレースワン、タークスィン、チュラーロンコーンの四大王である。
ラームカムヘン大王は、クメール文字を元にタイ族として始めてのタイ文字を考案、石に刻んで後世に伝えた。
ナレースワン大王は第一次アユタヤ陥落後、ビルマの属国に陥っていたタイの独立を宣言し侵攻してきたビルマ軍をことごとく打ち破った軍神である。
タークシン大王は第二次アユタヤ陥落のときほとんど壊滅状態にあった国内を統合、ビルマをアユタヤから追い出して独立を取り戻した。
ただ、中国系なのでこの大王を外して三大王と呼ぶこともある。
チュラーロンコーン大王(ラーマ五世)はタイの近代化を進め、外国の脅威をうまく受け流して国を発展させた。
四大王の中でも特に人気が高く記念日が国民の祝日になっているのもこの王様だけだ。

バンコクは「天使の都」ではなく「天人の都」

ご存じ、バンコクのタイ語名はクルンテープ、天人の都。
もう少しきちんというとクルンテープ マハーナコーン、天人の大都。
略語だと コートーモー。

普通「天使の都」と呼ばれているけど、天使というのは神の使い。
クルンは「都」テープは「神、天、天人」を指すから天使ではなく天人だよね。

バンコクの正式名称とその意味

ついでにバンコクの正式名称について。
これも大変だよ。
クルンテープ マハーナコーン アモーンラッタナコーシン マヒンタラーユッタヤー マハーディロックポップ ノッパラット ラーチャタニーブリーロム ウドムラーチャニウェートマハーサターン アモーンピマーン アワターンサティット サッカタッティヤウィサヌカムプラシット
意味は「インドラ神がヴィシュヌカルマの建築神に作らせたまいた神の住まう最高偉大な宝石のようなすっげえ都」。
どうしてタイ人は長い名前をつけたがるのかというと、縁起の良い言葉、美辞麗句が好きで、あれもこれもとできるだけたくさん並べようとするため必然的に長くなってしまうのだ。

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