日本人は人に迷惑をかけるのもかけられるのも嫌いです。ところがタイの人たちは人の迷惑に無頓着。人のことなど気にしません。日本人からみればけっこう自分勝手。反面、迷惑をかけられてもマイペンライと笑ってすませることがよくあります。その辺りのことを説明します。
日本の社会原則
「人様の迷惑になるようなことだけはするな」
と、日本の親はかつて子供に教えました。
「世間体」ということを日本人は生きる原則のようにしています。
日本人は人に迷惑をかけるのも嫌いですが、迷惑をかけられるのも嫌いです。
ですから、人に迷惑をかけた程度によっては死んでお詫びする。
世間もそれが当然だという風潮があります。
厳しいものですね。
他人が気になって仕方ない日本人
日本人は他人が気になって仕方ありません。
他人に干渉するのも好きです。
どこの町内にも正義の看板を背負ったおばさんやおじさんがいて、少しでも外れた行為をする者を鵜の目鷹の目で探しています。
ゴミ袋の中まで嬉々と調べたりする人がいるのだとか。
ようするに自分と同じ行動をとらない者が我慢ならないんですね。
日本人には多かれ少なかれこういう血が流れているようです。
周りと同じように振る舞うのが一番
日本社会はめだかのように常に同じ方向に頭を揃えて泳ぐことを強要しているわけです。
景色に見とれて立ち止まったりすれば後ろから背をどやされる。
「みんながやっているのだからお前もやれ」
得意のセリフです。
どうしてみんなと同じ事をやらなければならないのか理由を聞いてはいけません。
「つべこべいうな」
と張り飛ばされます。
群れから離れためだかは再び仲間に入れてもらえません。
だからなるべく群れから離されまいと努力します。
みなが右を向けば右を向き、みんなが転べば一緒に転ぶ。
周りのする通りに振舞うことが何よりです。
欠点は長所でもある
管理するのもされるのも好きな国民性です。
この辺が日本のよさと住みにくさなんですよね。
個人の生活は窮屈といえば窮屈ですが、集団としてはとても強い。
統率しやすいので会社や国にも都合がよい。
日本が発展するのは当たり前です。
個人の生活を犠牲にして働くのですから。
タイの社会原則
さて、タイはといいますと「こっちも我慢するからそっちも我慢しろ」が原則です。
人は生きているだけで人に迷惑をかける。
人の幸せは間接的であれ、きっとほかの人の不幸せの上に築かれるもので、しょせん誰にも迷惑をかけずに生きることなんてできるはずがない。
それなら、やりたいことをやった方がいいではないか。
迷惑を掛け合うのはお互い様なのだから、少しくらいなら我慢して人のことには口出ししない、という考え方で社会がなりたっているんです。
人ごとに口出しするのは命がけ
日本企業に勤めたり日本人と結婚したりして日本人と関り合いをもつタイ人には日本人の口うるささが信じられません。
どうしてそこまで細かく人のことに干渉するのか、と怒ります。
実際、タイで人に意見するのは大変なことなんですね。
「我慢はお互いさま」の原則に反して人の生き方にケチをつけた、というところにつながっていくからです。
だから、筋の通ったことでも快く聞き入れられません。
意見の是非はともかく、意見されたことについて腹を立て、無意味な反対のための反対意見を怒鳴り立てます。
ピストルまで飛び出してこないとも限りませんから、よほどの覚悟をしてかからなければなりません。
だからみんな耐えます。
なぜタイが人気なのか
「タイへくるとなんだかほっとする」
こういう感想を持つ旅行者が少なくないのですけれど、迷惑をかけるばかりの存在である旅行者にはたいていのことを許してくれるタイがとても開放的で気楽な社会に映るからでしょう。
ただ、住むとなると別です。
迷惑をかけるばかりの存在から迷惑をかけたりかけられたりする対等の立場へ変わっていきますからね。
こちらにも寛容の精神が要求されます。
好きでタイに暮らし始めたのに段々批判的になっていく人がいるのはこのためだと思います。
理解しあえないのが当たり前、がスタートライン
何がいいたいのかといいますと、
国際化がしきりに叫ばれていますが、外国とつきあっていくにはお互いまず、根本的に異なる、ということを理解すべきなんですね。
まったく違う価値観、原則で社会が成り立っているんですから。
お互いの国の尺度でほかの国を測ると絶対に理解できません。
「だからタイは・・・・」と、よく口にします。
しかし、日本の常識にどれだけ反していようとも、タイではタイの方が正しい。
タイにはタイの常識があるのです。
同じ人間だ、わかりあえるはずだ、という甘い見方ではなく、むしろわかりあえるはずがない、くらいに思っていた方がいい。違って当たり前なんです。
その上でお互い理解しあえるよう努力するのが大切なのでしょうか。
以上、群れから離れためだかの言葉でした。
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