タイで果物といえばランブータンを思い浮かべるほどありあふれた果物なのに、意外に日本人には馴染みがないようです。そのランブータンを使ったおいしいスイーツ、ランブータンにまつわるミニ情報です。
ランブータンはタイ語でアフロ?
ランブータンはマレー語の「毛の生えた、毛のある」という意味の言葉からきているのだとか。
タイ語では「ゴの髪(ポム ゴ)」。
それが縮まって今は単に「ゴ(ンゴ。鼻に抜ける音)」と呼ばれています。
「ゴ」はタイ最南部マレー国境周辺の森に暮らすゴ(セマン、サーカイ)族のこと。
この種族、小柄で色が黒く髪の毛が天然アフロ。
タイの人たち、ランブータンを見て思わず彼らの頭を想像してしまったようです。
新鮮なランブータンの見分け方
ランブータンが新鮮かどうか、薬をかけているかいないかはすぐにわかります。
新鮮なものはもじゃもじゃの毛がピンと立ち色が鮮やか。
古くなると毛は萎れ黒ずみます。
人気のランブータンスイーツローイケーオ
思いの外ランブータンは応用の利かない果物ですが、浮き珠(ローイケーオ)を呼ばれるシロップに浮かせたランブータンスイーツはよく食べられています。
作り方は簡単。
水に砂糖、ニオイタコノキ(バイトゥーイ)を入れて沸騰させ、冷めた後、種をえぐったランブータンもしくはパインを詰めたランブータン パイナップルを入れるだけ。
後からではなく、沸騰している中にランブータンを投入して少し煮るレシピもありました。
よく冷やしてお召し上がり下さい。
種好きな人は要注意?
ランブータンの種はアーモンドに似てなかなかうまそうなのですが食べると、頭痛、吐き気、腹痛、などを引き起こすので注意。
と、言われている一方で、種に味をつけた食品がいくつか販売されているのはいったいどういったわけでしょうね。
種はオレイン酸を豊富に含み、セッケンや油を作るのにも使われるのだとか。
種の粉末は健康食品としても利用されています。
ランブータンの栄養と効能
ランブータンに際立った栄養素はなく、ビタミンB3、マンガンが少し多いぐらいです。
タンニンを含むため、下痢の症状を和らげる効能がある反面、あまり食べ過ぎると胃の酵素に影響を与え、腹が張ったり便秘になったりするといわれます。
なぜに学校のランブータン?
現在流通しているランブータンで最もおいしく、タイ人が「世界一!」とも自慢するのは「学校のランブータン」という品種。
「学校のランブータン」はウォンという中国系マレーシア人がペナンから持ってきたランブータンの種を4粒、当時住んでいたタイ南部スラータニー県ナーサーン郡の家の周りに植えたのが始まりです。
その4本の中に1本だけ、本来赤いはずの毛が緑で大粒の実をつける木があり、これが学校のランブータンの原木となりました。
ウォンさんはその後ペナンへ帰り、家屋はナーサーン郡の学校として活用。
緑の毛のランブータンは挿木の技術の発達とともに各地で栽培され始め、原木が学校にあったことから誰からともなく「学校のランブータン」と呼ぶようになったとのことです。
その後、プーミポン前国王がスラータニーを訪れたさい、関係者が学校のランブータンを献上し、王様に新品種の名前を乞うたところ、王様は
「学校のランブータンは十分良い名前である」
とおっしゃり、以来、これが正式に品種名となったそうです。
北部産のランブータンがおいしい理由
ランブータンの産地はタイ南部で本来の旬は4月から7月。
ところが30年ほど前から北部でもぼつぼつとランブータンが植えられ始めました。
ランブータンは高温多湿を好み、低温への耐性がないと言われますが、最低気温が8度以下になる北部でも立派に実をつけます。
南部のランブータンと北部のランブータン、どこが違うのかというと、南部や東部のランブータンは化学肥料、農薬を使用する果樹園ランブータン。
対し北部では庭先栽培ランブータン。
植えた後は野となれ山となれ。手入れなどしません。
苦難を乗り越えてなった実を市場に並べます。
これがすごくうまいんですよ。
しかも無農薬。
ランブータンは北部の小さな市場で買う庭先ランブータンに限ります。
ランブータンに黒アリはつきもの
ランブータンを買うと黒アリが毛の間を這い回っていることがあります。
ランブータンに黒アリはつきものなんです。
黒アリが這っているということは鮮度がよく薬物中毒にかかっていない、ということ。
「うわ、何だこれ、アリが這っているようなやつ食えるか!」
とか言う方がたまにいらっしゃるのですが、アホです。
おかげでランブータンを食べると家のそこここにアリが這い回ることになります。
おいしく安全なものを頂くのならこれくらいは仕方ないとぼくは思うのですけど、あなたならどちらを選びますか。
ランブータンに黒アリがいる理由
なぜランブータンに黒アリが多いのかというと、アリたちはランブータンの上で小さなカイガラムシの放牧のようなことをやっているらしいです。
カイガラムシが先についてアリたちがやって来るのか、それともアリたちがカイガラムシを運んでくるのかは知りませんが、アリたちはカイガラムシがランブータンの皮の汁を吸って分泌する甘いお汁が大好きで、お汁を飲ませてもらうのと引き換えに外敵がやってくれば身を挺してカイガラムシを守り大切に保護しているのだそうです。
タイ嫁流ランブータンの食べ方
ランブータンは種の薄皮が果肉とともに剥がれやすく、しかも果肉から剥がれにくい、という困った性質を持っています。
別に薄皮がついていても問題ないのですが、口当たりが悪くなりますので気にする人はナイフを使って種を1個ずつ丁寧に果肉から外すしかありません。
タイ嫁と娘のみかんは、種をとって果肉だけにしたランブータンを冷蔵庫に入れ、よく冷やしてからレンゲでがばりとすくって食べています。
ランブータンはあれでもすごくジューシーで、果肉に包丁を入れると汁が滴り落ち器の下の方にはかなり汁が溜まります。
「この溜まったお汁がまたいいのよ」
剥き剥き派のタイ嫁とミカンは言います。
こんなの許せますか。
果汁が流れ出てせっかくのジューシーさが台無し。
たとえば、肉汁と肉を別々に食べておいしいと思いますか。
ジュースの出た果物なんて果物の抜け殻。気の抜けたビール。
ぼくも薄皮は嫌いなので丸ごと食べたりはしませんが、果肉をナイフで削ぎそのまま口に入れています。
以上。ランブータンについてのミニ情報でした。
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