パイナップルってけっこう大型の果物ですよね。ところがタイには握り拳ほどしかない一口で食べられそうなパイナップルがあって、しかも、世界一うまい!と大評判。世界有数の生産国、タイのパイナップルの種類、食べ方、選び方などについての話です。
パイナップル天国タイ
昔は熱が出たようなときしか食べられなかったパイナップル。
グリコ、チョコレート、パイナップル。
子供の憧れだった食べ物、パイナップル。
それがタイではまるでバーゲンセールのように一年中山積みで売られています。
果物王国タイですがほとんどの果物には旬があり年中食べられるわけではありません。
でもパイナップルは別。
タイは季節を問わず全土でパイナップル栽培が可能。世界有数のパイナップル生産国であります。
本当に年中出回っていてしかも激安。
あまりに見慣れ過ぎているので買う気がしないくらい。
パイナップル好きには天国です。
ちなみにパイナップルはタイ語でサパロットと言います。
タイのパイナップル二大品種
タイで栽培されているパイナップルの品種はたくさんありますが、スーパーなどでよく見る品種は次の2種です。
パタビア(スィーラーチャー)
タイでは最も大型のパイナップルですが、大きさ、形ともかなりばらつきがあります。重さは平均2キロ前後。
全体に緑っぽく熟すと下部が色づきます。
プラチュアップキリカン、チョンブリー、ペットブリー、ラヨーン、ラムパーン、が産地。
プーケット(サウィー)
南部で広く栽培されている中型種。面長で熟すと全体が山吹色になります。
産地は、プーケット、チュムポーン。
可愛いくて抜群の甘さ ハニー パイナップル
タイのパイナップルは、東部(大型スィーラーチャー)や南部(中型プーケット種)が主な産地なんですけど、北部のチェンライ県にも、ナンレー、プーレーという優れたパイナップルがあります。
「チェンライへおいで、おいで。ナンレーのパイナップル食べさせてあげる」
と、チェンライ音頭にも歌われるナンレーパイナップルは、1937年ごろ中国系の移住者がシンガポールから持ち帰った苗(脇芽)をナンレー(チェンライ北部にある村の名)に植えたのが始まりだそうです。
シンガポールに比べればナンレーは寒暖の差が大きく気温は低い。
パイナップルも気候風土に馴染むよう必死で身体を合わせたのでしょうか。
年々小型化が進み、その分、味が凝縮されていきました。
実は普通のパイナップルの半分以下の大きさ。目が浅く剥きやすい。
ジューシーで甘くハチミツの香りがすることからハニー パイナップルと呼ばれることもあります。
その濃厚な味と小ささが珍しがられて大評判。今ではチェンライ県を代表する産物です。
ナンレーの収穫は2月から8月。おいしいのは5月から7月と言われます。
世界一うまい!一口パイナップル
プーレーは、1977年 地元ラーチャパット大学の先生がプーケットから持ち帰った品種をナンレーに植えたのが始まりと言われています。
ナンレーというのは面白い土地柄で、これも歳月とともに小型化、ついには握り拳ほどになってしまいました。
大きいとどうしても甘いところと甘くないところが出てきますが、小さいと甘味が行き渡り全体がおいしくなります。
「とても甘くて香りよくパイナップルのくせにパリッとしていて芯まで食べられる」
「世界一おいしいパイナップル!」
と地元の人は自慢しています。
ちなみに名前の由来はプーケット種のナンレー育ちなのでプーレー。
簡潔明瞭、素晴らしい名前です。
パイナップルの選び方、食べ方
未完熟のパイナップルを食べるとなんだかピリピリ、チクチク刺すような感じがします。
これはシュウ酸カルシウムの針状結晶とやらの針で口の中が傷つくことが原因。
パイナップルは追熟はしないためちょうどよい熟れ具合のものを選ぶことです。
重さでジューシーさ、頭の葉で新鮮さ、色でだいたいの熟し加減がわかります。
色は緑過ぎず黄色過ぎずが基本ですが、種によってかなり異なるのである程度の経験が必要です。
甘味は上から下がるにつれ濃くなっていくため頭を下にして置いておくと甘さが全体に行き渡りおいしくなると言われます。
パイナップルは プリック クア と呼ばれる、砂糖に塩、唐辛子を混ぜたものをつけて食べるのがタイ式です。
パイナップルの栄養素
パイナップルにはビタミンB1、C、カリウム、マンガン、クエン酸などが含まれ食物繊維も豊富です。
タイ式生薬では、便秘、消化促進、疲労回復、利尿、のどの渇き、などによしとされます。
パイナップルに含まれるタンパク質分解酵素ブロメラインは肉を柔らかくする働きがあります。
バーベキューとかにパイナップルを挟むのもこの理由からなのでしょうか。
この酵素、高温で壊れるらしいので熱を加える前に用いるようにとのことです。
冷蔵庫にプーレーを常備
家の冷蔵庫にはプーレー パイナップルがよく入っています。
生食することはあまりなく、もっぱら肉用。
パイナップルを載せたり汁をかけたりすると肉が軟らかくなります。
特に効果的なのはカエルの脚(ご存知ないでしょうけど高級食材)を揚げ物にするときで、パイナップルを使うと放し飼いの地鶏のようなカエルの脚がブロイラーのように柔らかくなります。
別にプーレーでなくてもいいのですが、甘味が強く小型なので便利です。
変わり種パイナップル ペッチャブリー
手で千切って食べるパイナップル、スナックパイン、食べたことありますか。
パイナップルって目がやたらあって剥くのが面倒ですが、この種は剥く必要なし。
手で千切って食べることができます。
タイ語でサパロット チーグター、もしくはサパロット ペッチャブリーといいます。
残念ながら、ぼくの住むチェンライにはほとんで出回っていなので食べたことはありません。
ちなみに日本では沖縄産が1個1000円以上しますがタイは100円ちょっとです。
商売上手のパイナップル売り
市場でうまそうなパイナップルを地べたに山積みして売っていました。
「おじさん、これ、何品種?」
「バタビアだよ」
「チェンライ名産の小さなプーレーより甘もうてうめええぞ」
と、自慢。
でもこのおじさんプーレーを売るときは、
「世界一うめえパイナップルだぞおお」
と言うんです。
よっ!商売上手。
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