タイ北部で食べられている漬け
タケノコの一種ノーオーは世にも
おぞましい悪魔の食材。その臭い
ときたらあのドリアン大魔王だって
裸足で逃げていきそうです。タイで、
いや、世界で最も臭いタケノコ。
これ以上臭いタケノコがこの世に
存在しているとは思えない、
という話です。
ノーオー、NO OH!
ノーオーのノーは「タケノコ」、オーは「悪臭」。の意味。
どんな悪臭かというと、もろ、○○○の臭い。
「何でも食べてやろう」
が、ぼくの信条。見かけや既成概念にはこだわりません。
オケラであろうがアリであろうがイモムシであろうが愛してしまいますが、ノー オーは無理。絶対無理。
タケノコがぐじゅぐじゅ溶けかかったようなその様を見るのも嫌です。
ノーオーはおいしいのか
「ノーオーって滅茶苦茶臭いですよね」
たまたまお会いした、タイの田舎在住歴三十年のH女史に言ったところ、
「ああ。あれ、食べた後、お腹、張りますよね」
女史は平然とおっしゃっり、びっくり。
「ヒョエ-!あんなものを食べるんですか?」
「はい。嫌いじゃないですよ」
すげえなあ。日本人でも平気な人は平気なようです。
食べたことがないので味は語れませんが、思い切って口にすれば案外おいしいのかもしれませんね。
ノーオーの作り方
見るのも嫌なノーオー、調べて見ると意外や意外。
作り方は漬けタケノコとほとんど変わりません。
漬けタケノコは水に浸けて酸味を出したタイのポピュラーな食材で、日本人にもけっこう人気。
その漬けタケノコはやや太目のタケノコを薄く削ぐのに対し、ノーオーは適度な長さに切った小ぶりなタケノコに包丁をぐさりぐさり突き刺して切れ目を入れ、丸ごと水に漬けるだけ。
最低1年ぐらいは漬けるのだと思っていたら、わずか数日であれほどの臭いを放つようになるのですから驚きです。
ノーオーの食べ方
漬け上がった、つまり、悪臭をぷんぷん放つようになったノーオーは水を切り、小1時間かけて身が崩れるほど軟らかく煮ます。
恐らく殺菌のためもあるのでしょう。
このとき隣近所は汲み取り便所のような強烈な臭いに包まれます。
それが食事時と重なった日にはあなた・・・。
熱を通して完成したノーオーは、炙った乾燥唐辛子を塩などとともに搗いた調味料につけて頂きます。
食後は臭さの再確認に酔いしれる
タイ北部の主食はもち米。
もち米はしっかり握って口に入れるため、箸は使えません。
というわけで、北部は手を使って食事をします。
もちろんノー オーも手づかみ。
ところが、こいつの芳香は手を洗ってもなかなかとれません。
ノー オーを食べた後は気になって仕方ないため、つい、手を鼻に持っていって臭いを嗅ぎ、
「うわあ、くさあ」
とか、1日中、その臭さを確認してしまうのだそうです。
臭いのがわかっているのだからわざわざ嗅がなくてもよさそうなものですが・・・。
廃れ行く食材
北部タイの人々に愛され続けてきたノー オーもここにきて陰りが見え始めました。
「ノー オーは衛生面で不安」
「一日中手が臭い」
などの理由で食べる人が減少。
売れないため市場からも姿を消しつつあります。
西洋化に伴い、人々の意識が変化してしまったようです。
ノーオーを食べるわけでもないし、隣近所から漂ってくる臭いは迷惑なくらいなのですが、こういった伝統食品が消えていくのは少し残念な気もしますね。
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