タイで子供から大人にまで愛されているえびせん、カオキアップ。日本人にも大人気でお土産に買って帰る人が多いのだとか。そのタイえびせんの種類、食べ方、作り方とタイえびせんで大儲けした人の話の2本立。
えびせんはタイの定番おやつ
タイにカオキアップ(正しくは khao kriap カオ クリアップ)というとても人気の菓子がある。
「食べ出すと本当に止まらなくてヤバイ」
「あっという間にお皿が空になる」
「ピリ辛でビールのあてに最高!」
知らなかったのだけど日本人にも好評で土産に買って帰る人が多いらしい。
ネット販売も盛んなようだ。
タイのえびせん カオキアップ とは
カオキアップ、日本語では「タイのえびせん」と呼ばれている。
タピオカ澱粉(または米粉)と潰した具材を練り合わせた生地を2日ほど干して揚げたタイの定番菓子だ。
日本語では「えびせん」と呼ばれるものの、エビだけでなく、カボチャ、トウモロコシ、にんじん、サツマイモ、紫芋、キノコ、エビ、魚、カニカマ、豚、様々な具材を練り込んだカオキアップがある。
にんにくや砂糖、着色料を加えたりもするのだけど、味付けは塩、コショウが基本だ。
つまみとしても人気が高く、子供から大人まであらゆる世代の人たちに愛されている。
タイのえびせんの買い方、食べ方
袋詰めの揚げた「タイえびせん」は、スーパーの菓子コーナー、雑貨屋、駄菓子屋、セブン、など至る所で売られている。
また、スーパーの乾燥食品を扱うコーナーには揚げる前の生えびせん(カオキアップ ディップ)が迷うほどたくさん並べられているので、それを食べる都度揚げるのも悪くない。
生は保存が効きくから買っておいて損はないと思う。
「タイえびせん」はナムプリック パオ(焼き辛子味噌)と呼ばれる甘辛いペーストに付けながらポリポリやるのがタイスタイル。
ペーストは袋詰めタイプであればたいてい袋の中に入っている。
なければスーパー、コンビニで調達できる。
意外にポピュラー、カオキアップ
調べてみると、カオキアップはタイだけでなく東南アジア一帯で食べられている食品で、とりわけインドネシアのクルプックが有名だそうだ。
カオキアップ、クルプック。なんだか似ている。
カオはタイ語で米のことだが、キアップの意味は不明。
もしかするとクルプックとつながりがあるのかもしれない。
カボチャせんの作り方
カボチャを練り込んだ、えびせんならぬカボせんのレシピ。
材料
タピオカ澱粉 ---- 2カップ
にんにく ------ 1個
蒸しかぼちゃ ---- 250g
胡椒 -------- 小さじ1/2
塩 --------- 小さじ1/2
砂糖 -------- 小さじ1
作り方
・タピオカ澱粉に塩、胡椒、砂糖を入れよく混ぜる。
・蒸したカボチャを加えよく練り、細かく刻んだにんにくを入れてさらに練る。
・直径4センチ長さ12センチぐらいの大きさの円柱形に分ける。
・生地を45分蒸す。
・冷めればラップ、冷凍庫へ1晩。
・冷凍庫から出し、ピーラーなどで薄くスライス。
・1-2日干してできあがり。後は揚げるだけ。
*冷凍庫へ入れず一晩寝かせた後薄く切って干すレシピもある。
空気を売って大儲けした男
タイでカオキアップといえば誰しもエビを練り込んだえびせん、カオキアップ クンを思い浮かる。
あまたのえびせんが販売されている中、全国どこでも手に入りやすくて評判なのがマノーラー。
「あんた、マノーラーみたいな昔っぽい菓子ばかり食べて年寄りみたい」
マノーラーが好きでよく買ってくる下の娘みかんを見て姉のわかめは笑う。
ぼくもわかめ同様マノーラーにはどことなく古くさいイメージを持ち一緒に笑っていたのだけど、間違っていた。
バンコクで行商を始める
マノーラーの創業者、アピワットさんはタイ実業界では有名な立志伝中の人。
出身は南部ソンクラー県。
中学生のときに母を亡くし、再婚した父はあまり子供たちを顧みなかったため、彼と姉は菓子を売り歩いて生計を立てた。
そう願った彼は数年後、苦労して貯めた数百バーツを手にバンコクへ上京。
部屋を借りる金もなかったため、雑用係としてお寺に住まわせてもらったそうだ。
タイのお寺はこういう困窮者のよりどころでもある。
彼は姉から送ってもらったカオキアップ クンを売り歩いて学費を稼いだ。
1袋1バーツのカオキアップ クンはソンクラーのカオキアップと呼ばれ、珍しがったバンコクの人たちによく売れた。
当時カオキアップ クンは南部でのみ食べられていた菓子。
タイ嫁も子供の頃はエビでない普通のカオキアップしか見なかったといっている。
南部のカオキアップ クンや魚を練り込んだカオキアップ プラーがタイ全土に広まったのはこの50年ぐらいのことのようだ。
空気を売って儲からないはずがない
「カオキアップ(揚げせんべい)は空気を売っているのと同じだ。儲からないはずがない」
カオキアップで巨万の富を手に入れたアピワットさんがそもそもカオキアップを売ろうと思った理由だそうだ。
カオキアップは揚げると何倍にも膨れあがり、袋詰めされたカオキアップはお得感が半端ない。
30センチはあろうかという大袋が信じられないくらい安く、タイに暮らし始めた当初はそれが嬉しくてぼくもやたらカオキアップを食べた。
大袋のほとんどが空気だと気づかなかったのである。
でも空気があるからこそさくっとおいしい。
カオキアップは空気を食べる。
名言ではないか。
徒手空拳から資産数十億
徒歩からバイクによる移動販売。
カオキアップ ソンクラーの売り上げは徐々に伸びていった。
やがて業者から大量注文を受けるようになると彼は学業を断念。
もともと好きだった商売に専念し、ついには工場を建てるに至った。
現在、マノーラーの生産工場は最新の日本製設備を持ち、タイのみならず世界30カ国に輸出。
彼の資産は数十億と言われている。
みかんの愛するマノーラー、勝手に古臭いイメージを抱いていたが曇っていたのはこちらの目であった。
しかし、こんなものといったら悪いけど、カオキアップだけでよく数十億の資産が貯まるものだ。
と、感心すること自体、目のなさ、商才のなさを表しているのに違いない。
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