タイであんこを作ってみた

菓子

タイは餡文化圏であんこ自体は食べられているのだけれど日本人にお馴染みの小豆餡はあまり一般的でない。それなら自分で作るべしと思い小豆を買って4年。その年代物の小豆でついにあんこ作りに挑戦した話。

 

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古い小豆であんこは作れるか

以前、あんこが食べたくなり小豆を1袋買った。
そのうちに、そのうちに、と思っていたらはや4年。
意を決しビンテージ小豆であんこ作りに挑戦したもののうまくいかなかった。
何時間煮ても柔らかくならない。
それでも諦め切れず翌日さらに水を足しながら煮たけれど駄目だった。

ドイカムの小豆、4年で値段が数倍になっている

ドイカムの小豆、4年で値段が数倍になっている

地球を守りたいなら古小豆を廃棄せよ

ネットを見るとぼくのような「モッタイナイ症候群」に陥った人の失敗談がたくさん書き込まれていた。
小豆はせいぜい2年物が限度だそうである。
古い小豆の生死を確かめるには24時間ほど水に浸け水を吸えば使えなくもないらしいけど、味はもうどうしようもない。
諦めて捨てた方が時間とガスと酸素の節約になる。
地球温暖化に対して今私たち日本人ができること。
それは古い小豆を煮ないことだ。

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初めてのあんこ作り

というわけで渋々新しい小豆(300g)を25バーツで買ってきてあんこ作りに取りかかった。
まず小豆を洗い火にかける。
沸騰したら一度火を止めふたをして30分ほど蒸らし水を捨てる。
あるいは沸騰後3分ほど煮てから水を捨てる。
ぼくは3分煮てから渋切りをした。
どちらが良いのかどう違うのかはわからない。

粒餡は簡単にできる

粒餡は簡単にできる

再び火にかけ水を足しながらことこと煮続ける。
1時間15分ほど煮込んだところで火を止め汁を捨てた。
これに小豆と同量の砂糖を加え錬え錬ること約10分。
最後に塩を少々加え味を調える。
おお、見事なできばえじゃないか。
粒餡は小豆に砂糖を加えるだけだから柔らかく煮さえすれば食べられなくはないのである。

あんこを何度も作っているうち知ったこと

この記事を書いてから30回ほどあんこを作った。
新たに知ったことを書いておこうと思う。

1. 小豆は水からではなく沸騰した熱湯に入れた方が柔らかくなりやすい
理由は胚芽が壊れて吸水されやすくなるかららしい。
ぼくも今はなるべく熱湯に入れるようにしているけれど、どれほどの差があるのかは正直よくわからない。

2. 重曹を使うとすごく柔らかくなる
重曹を入れるレシピは意外に少ないところを見ると邪道なのだろうか。
タイの重曹は臭いので極力入れたくはないのだけれど、入れると断然柔らかくなる。
小豆150gに対し小さじ1/3程度ならそれほど匂いはしない。
ただ、鍋がけっこう汚れる。

3. あんこは思うより硬く締まる
どのレシピにも、あんこは冷えると硬く締まるのでそれを計算して火を止めろ、とある。
この硬く締まる程度が想像するよりかなり大きい。
少し早いかな、と思う段階で火を止めた方がよいようだ。

調子こいて水ようかんまで作ってみた

調子こいて水ようかんまで作ってみた

タイのあんこは黄色い

タイ人は小豆に馴染みがなく小豆を使ったタイ料理もほとんどない。
スーパーに小豆が出回り始めたのは比較的近年になってからのことである。
むしろ日本人の方がタイ産小豆のお世話になっているに違いない。
ヤマサキなどの進出で小豆餡もだいぶん普及してきてはいるものの人気は今ひとつだ。

タイは餡文化圏で餡自体は古くから食べられているのだけれど定番は緑豆の黄色い餡。
あんまん(タイでもポピュラーな食べ物)などには緑豆ではなく黒豆の漉し餡を使う。
イカ墨のように真っ黒い少し不気味な餡である。

と、以前書いたのだけれど自分で黒豆を使ってあんこをつくってみたら全然違った。
色は小豆餡より少し黒っぽい程度で風味がよくとてもおいしかった。
ぼくは昔、真っ黒いイカ墨餡に懲りて以来口にしていないから最近はまともになっているのかもしれない。
それにしてもあのイカ墨餡は何から作っているのだろう。

紫芋を使っているらしい

紫芋を使っているらしい

黒豆あんこを作ってみた

小豆は戻しが要らない特別な豆で思い立ったらすぐにあんこが作れるけれど黒豆は一晩(7時間前後)水につけて戻す必要がある。
しかも戻しすぎるのはよくない。
ということは寝る前に水に浸ければ朝起きてすぐ煮なければならないということである。
面倒くせえ!
何とかならないものか。

調べてみると熱湯に浸ければ1時間少々で戻るらしい。
さらに調べると熱湯に重曹を入れればもっと早く戻るうえ水で戻すよりも豆の腹割れが少なくきれいに仕上がるのだそうだ。
さっそく重曹入り熱湯で戻してみた。
おお、素晴らしい。

黒豆餡は小豆餡と同じ方法で作った。
上にも書いたが黒豆独特の風味がありなかなかいける。
もしかすると小豆餡よりうまいかもしれないと思うくらいだけれど、小豆餡が作り続けられているということは小豆餡の方が飽きないのだろう。

このメーカーの豆を使ったら大失敗した

このメーカーの豆を使ったら大失敗した

黒豆を1時間で戻す方法

重曹を溶かした熱湯に黒豆を浸けると1時間ほどで水を吸う。
劇的に早い。
「一晩水に浸ける}はいったいなんだったんだと思うくらいである。
割合は黒豆300gに対し熱湯2リットル、重曹小さじ1/2。(FCG総合研究所より)
これは試す価値があります。

粒餡こそがあんこである

ちなみにぼくにとってあんこといえば粒餡である。
漉し餡派に言わせると
「粒餡は品がなくて粗野、育ちの悪さが伺える」
と自分たちのお上品さを主張、粒餡派を見下し溜飲を下げる。
確かに粒餡と漉し餡ではかかる手間がまったく違う。
粒餡を作るのは簡単だけれど漉し餡となると工程がめったやたら増えレシピを見ただけでげんなりしてしまうくらいだ。
ぼくは粒餡派だけれどよく考えれば漉し餡を食べてうまいと思うこともある。
赤福とかね。
でもやっぱり最中やどら焼き、あんまんは絶対粒餡ですぜ。

やっぱり粒餡が好きだ

やっぱり粒餡が好きだ

幻のタイ式粒餡

タイ北部にはトゥア タム オーイという赤インゲン豆と黒糖から作る粒餡がある。
「タイにはあんこらしいあんこがなくてね・・・」
とタイ在住数十年の甘党大兄が嘆くので村の婆様が作るバナナの葉に包まれたトゥア タム オーイを手渡したところ、
「素晴らしい!本物のあんこだ」
目を瞠り大声を上げた。

赤インゲン豆と黒糖で作る我が村の粒餡

赤インゲン豆と黒糖で作る我が村の粒餡

トゥア タム オーイはどういうわけか冬期限定の伝統スイーツなのだけれど、時代遅れの菓子とされ作る人がすっかりいなくなってしまった。
今ではぼくの住む村のような田舎でないとなかなか口にすることができない幻の粒餡である。
これがうまいんだ。本当に。

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コメント

  1. ただの酔っ払い より:

    はじめまして。
    私は、緑豆で造ります「
    鶯あずき、美味しいですよ

    • ushiom ushiom より:

      緑豆もやしをたまに作り、揚げ緑豆を毎日酒のつまみにしております。今度緑豆のあんこにも挑戦してみようと思います。