カオパットぬきに炒飯は語れない

料理

タイの炒飯カオパット。タイで絶対に食べたい料理の一つ。えっ、わざわざタイで炒飯?いやいや。タイだから炒飯。今回は世界一おいしいタイ炒飯カオパットについて。

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世界一の炒飯、カオパットのおいしさ

カオパットがおいしい理由は、米。
以前、日本人はタイ米をパラパラ、パサパサといって嫌ったのだけど、そのパラパサが生きてくる。
ふんわり軽くべとつかない。炒飯にこれ以上理想的な米はないだろう。
日本の炒飯がいくら頑張ったってしょせん日本米。
粘りのあるジャポニカ米では限界がある。

タイの炒飯

カオパットはタイ米のおいしさを際立たせる

もちろん、日本米のもっちとした食感の炒飯の方が好き!
という方もいるだろうけど、サラリ、パラリの炒飯はタイ米のような長粒のインディカ米でしか作れない。
その、サラリ、パラリ系炒飯の最高峰がタイ炒飯、カオパットというわけだ。

カニ炒飯(カオパット プー)の作り方

カオパットの中でも特におすすめなのがカニを具にしたカオパット プー。
基本の味付けは塩、胡椒、と意外にあっさり。作り方自体もとても簡単なのでお試し下さい。

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材料

・冷飯 ーーーーーー 1杯        できればタイの特級ジャスミン米(タイの銘柄米)。
・タマネギ ーーーー  大匙1    通常はにんにく。にんにくより香りがよくなるとのこと。この辺は好み。
・卵 ーーーーーーー  1個          色がよく味が濃いアヒルの卵がよいとのこと。
・剥いたカニ ーーー 大匙 2       カニは煮るより蒸した方がよいとのこと
・ネギ(ワケギ) ー 大匙1

カニ炒飯

南部のカオパット プーは特においしい

調味料

・塩 ーーーー  小さじ少々     ナムプラーや牡蠣油を使うとカニの風味が飛び仕上がりの色もよくないとのこと。
・胡椒 ーーー 少々
・砂糖 ーーー 大匙1/2         入れなくてもOK。
・植物油、またはバター ーー 大匙 1
・酢 ーーーー 大匙1            ご飯の色をよくするためらしい。普通は入れない。

作り方

1. 強火でフライパンを熱し油を敷く。
2. タマネギ、またはにんにくを香りが立つまで炒める。
3. 卵投下。すばやくふわっと膨らせる。
4. ご飯を入れ、塩、胡椒、砂糖で味付け。酢はこのとき投入(入れなくてもいい)。
ご飯粒がばらばらになるように炒めること。
5. カニを投入。続いてネギ。よく炒め合わせる。
6. 皿に盛り、ライムときゅうりを添える。

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カオパットに欠かせないもの

カオパットの皿には、ライム、ねぎ(ワケギ)、きゅうりが添えられてくる。
「炒飯に果汁なんて!」
まあ、そんなこと言わずにちゅっと搾りかけてごらんなさい。
酸味が加わってまた新たなおいしさが楽しめる。

プリック ナンプラー

これがないとカオパットのおいしが半減

ねぎ(ワケギ)は先っぽと根を落としただけの長いやつ。
これを片手にカオパットを追いかけるように食いちぎる。
コンチキショウ、と小さくつぶやけば、なおよろしい。
きゅうりは口中をさっぱりさせるのが主な目的なので、いきなりきゅうりから取りかかったりせず、中盤から終盤にやっつけるのが常識。

唐辛子ナンプラー(プリック ナンプラー)

刻んだ唐辛子をナムプラー(ナンプラーではない)に浸けたプリック ナムプラーはカオパットに欠かせない調味料。
カオパットはほかの料理と合わせることを想定してか軽めの味付けのため、プリック ナムプラーでうま味と辛味を加えパンチを効かせるわけだ。

プリック ナンプラー

これがないとカオパットのおいしが半減

タイ人はカオパットを食べるときテーブルの上にプリック ナムプラーがなければ信じられないような顔をする。
プリック ナムプラー抜きのカオパットは醤油をつけずに食べる刺身のようなものらしい。
プリック ナムプラーは日本人はもとより白人にも人気が高く、カオパットにがばがばかけている人をよく見かける。

プリック ナムプラーの作り方

プリック ナムプラーは唐辛子を刻んでナムプラーに浸けたものがベース。
これだけでも純なナムプラーとは全然違うのだけど、普通はこのベースにライムを搾り込む(色が黒く変わり見栄えが悪くなるので入れない人もいる)。

もう少し手を加えるなら、にんにく(できれば小ぶりのタイにんにく)やシャロットを追加する。
それにアジノモトを振りかけるもよし砂糖を加えるもよし。
それぞれの家にそれぞれのプリック ナムプラーがある。

唐辛子でぴりっと引き締まったナムプラーの塩味。
ナムプラーでまろやかになったライムの酸味。
お互いが刺激し合い、融和し、ナムプラーでもない、唐辛子でもない、ライムでもない、新たな味覚、THE プリック ナムプラーを作り上げる。
見事なまでのコラボレーション。
ああ、このおいしさを何にたとえよう…。

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カオパットの正しい頂き方

要約すると、中華鍋でカシャッカシャッ手際よく炒めた熱々のカオパットにライムを搾り、プリック ナムプラーをかけ、スプーンでカオパットを口に運んではネギを食いちぎり、思い出したようにきゅうりをかじる。
これが正しいカオパットの食べ方である。
それから、マナーとしては直接スプーンでカオパットをすくうのではなく、ファークを使ってスプーンにのせるようにするのがよしとされている。

すべての店がおいしいわけではない

炒飯はただ作るだけならともかく、うまく作ろうとすればなかなか難しい料理で、いくらタイのカオパットがおいしいといっても、これは、というところは多くない。
よくあるのが油浸けのカオパット。米が油に溺れているうえ、古い油を使うのか口の皮がぺろり剥けそうになる。

カオパット

カオパットは米が油に溺れてはいけない

いけそうでいけないのはホテルのビュッフェなどにあるカオパット。
一度に大量に作るうえ洋風に仕上げたあれはもはやカオパットとは言い難い。
カオパットはたかが冷や飯を炒めただけのざっかけない料理。
オープンレストランや大衆食堂で一人か二人分ずつ炒めた熱々をパクつくものだとぼくは思う。

幸い、ネット社会となった今、真偽はともかくおいしい店の情報がごろごろしているのでまずはそれらの店で味わってみることをおすすめする。

寿司から作る焼き飯

寿司飯の残りを冷蔵庫に入れていたらカチカチのパラパラになった。
「捨てるのももったいないなあ」
とつぶやいたら、
「じゃあ焼き飯にしようか」
つれあいがいった。
「ばかいうな。こんなかちんかちんのパラパラで、しかも寿司飯だぞ。焼き飯になんかできるわけないじゃないか」
「何いってんの、焼き飯はねえ、こんなご飯がおいしいの」
そこまでいうのならやってみ、というわけで今日は寿司カオパット。

寿司の残りで作った炒飯

寿司飯の残りで作ったカオパット。意外に食べられた。

結果からいうと、ぜひもう一度食べてみたい、というほどではなかったけれど、けっこういけました。
若い頃、フランス南部の田舎を自転車で走ったとき、通りがかりの肉屋でご飯のサラダを買って食べたことがある。米がサラダになるとは思いもよらず、へえ、白人にとって米は野菜の一種なんだなあ、と驚いたのを今でもよく覚えている。
寿司カオパットはほどよくパラパラで、でも意外にふんわりしていて、ほんのり酸味があった。
なんとなくその米のサラダを思い出すような味。
タイにはカオパットネームという酸っぱい肉(チンソム。酸肉。日本人はネームソーセージと呼んでいる)を具に使った焼きめしがあるのだけど、それにも少し似ている。
ご飯は手でよく揉んでほぐし、普通のご飯を少し混ぜ、水を少々加える、などがコツ、だそうだ。
が、くれぐれも真似はなさらぬよう(家はタイ米の寿司飯。日本米では多分無理)。

二ヶ月カオパットを食べ続けた

数十年前、旅人だったぼくは初めてタイに入国した翌日、カオパットを食べた。
それから帰国までの二ヶ月間、ほぼ毎日カオパットだった.。
タイ王国カオパット協会というのがあれば表彰状の一枚も貰えたに違いない。
二ヶ月もカオパットを食べ続けたのは、言葉ができず他の料理を注文するのが面倒だったせいもあったけれど、やはりカオパットが抜群にうまかったからだ。
ぼくが初めて覚えたタイ語のセンテンスは、
コー カオパット ヌン チャーン(ヤキメシ ひと皿 チョーダイ)
である。

タイで食べるものに迷ったら炒飯をどうぞ。

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