日本では見かけない虫が多いタイ。その中には強い毒を持つ虫もいる。今回は身近にいて注意の必要な虫についての話。
第8位 サシガメ
タイ語でムアンペッチャカード(死刑執行カメムシ)と呼ばれる。 けっこう頻繁に見る虫。
吸血性でほかの虫を捕らえて食べるけど、ときどき人も刺す。
刺されるとかなり痛く、病気を媒介することもあるらしい。
普通のカメムシも油断できない。
竜眼(ロンガン)の木にいるカメムシの幼虫に臭液をかけられ首が赤く腫れたことがある。
第7位 オビゲンセイ(ツチハンミョウの仲間)
タイにくるまで知らなかった虫。
タイ語でドゥワン ナマン(油虫)。
刺激するとカンタリジン(カンタリスという生薬の主成分)を含む毒液を吹きかけるんだそう。
それが皮膚についたら炎症を起こし、強い痛みと痒み。
3匹食べればあの世行き、っていうからすごい。稀に田舎の人が食べて病院に運ばれる。
オレンジと青みを帯びた黒のけっこう魅力的な虫で、そのうち庭にいるやつを捕まえてやろうと思っていたのだけど、触らなくてよかったあ。
第6位 蚊
蚊といえばマラリア。でもタイではよほど奥地に行かない限り、蚊に刺されてマラリアになることはない。
対し、デング熱を媒介する蚊はけっこうどこにでもいる。
毒ではないけれど、怖い、という点では毒虫と同じだね。
家の周辺にも菌を持った蚊がぶんぶん飛んでいるらしく、つれあいがデング熱にかかって以来、庭に長く出るときは蚊除けのローションを塗るようになった。
しかし、数十年住んでて身内ではそれが最初で最後。
第5位 ブユ
毎年泳ぎに行っていた南部の海で1度咬まれたことがある。
浜を群れで飛んでて、小さなハエぐらいの大きさしかないものだから気にしなかったのだけど、いつの間にか咬まれ、しばらく経ってから猛然と痒くなった。
どんな薬をつけてもだめで、バリバリ狂ったように掻き毟るしかなかった。
痒みは一旦おさまり、突然、思い出したようにまたぶわっと沸き上がってくる。
そんなたまらない痒みが何日も何日も続く。これには本当に参った。
第4位 アリ
よく目にする黒アリの毒はそれほど強くないのだけど、何年か前、上を見てたら目の中に3匹落ちてきて、そいつらが目玉をかじりまくったときには死ぬかと思った。
炎症を起こし真っ赤になったのでしぶしぶ病院へ行ったら、アリに目を咬まれた患者は初めてだとお医者さんが呆れてた。
日常、最も嫌なのはツムギアリと赤火アリ(日本で騒がれているヒアリの仲間)。
赤火アリはそこら中に巣を作っている。
先日も知らずに巣の上に突っ立って咬まれ飛び上がった。
幸い、一度にたくさんの赤火アリに咬まれることは滅多にない。
毒が強くすぐに痛痒くなるので1匹に咬まれた時点で走り出す。
タイのアリの中で毒性が一番強いのは多分、タノーイアリ。
こいつは尻に針を持つアリで、その針をブスブス刺しまくる凶暴極まりないやつ。
毒は強烈でアナフィラキシーショックを起こし亡くなった人が過去に何人もいる。
第3位 毛虫
家は毛虫がそこら中を這い回っている。
朝は家の周りの毛虫を踏み潰して歩くのが日課なくらいだ。
もちろん何度もやられたことがある。
ぶわっとぶつぶつが出て皮膚が赤く腫れ上がりびっくりするけれど、症状が派手なわりには1時間もすればすっと引いてしまう。普通の毛虫ならね。
昔、長靴を履いたとき、足に何か柔らかいぐにゅぐにゅしたものが触れた。
すぐに取り出せばいいものを、妙に気色よく、足でぐりぐり、ぐにゅぐにゅを存分に楽しんでから長靴を脱いで逆さにしたら、毛のふさふさした親指ほどの毛虫がぽとり落ちてきた。
見たとたん血の気が引いたね。
足はむこうずねの辺りまでぱんぱんに腫れ上がってなかなか痛痒さがとれず、最終的には村の呪術師に治してもらった。
どんな薬をつけてもだめだったのに一発でよくなった。
呪術って効くぜ。
第2位 アオバアリガタハネカクシ
名前が長く変わっているのが面白くて子供の頃から気になっていた虫だけど、強烈な毒をもつことは歳をとってから知った。
この小さな虫の怖いところは、刺したり咬んだりするんじゃなく、偶然身体に止まった虫を無意識に払いのけてしまうさいに毒液をかけられること。
そのときは全く気づかないらしい。そして時間をおいてから毒液のついたところがただれてくる。
原因が思い当たらないのに突然、腕が丸太のように膨れ上がったり潰瘍ができたりするんだから恐怖だよね。
実際にやられた経験はなく、ネットで見たんだけど、それはそれはひどいものだ。
去年だったか、今文字を打っているパソコン机の上にツートーンカラーの小さな虫が見えたのでティッシュで押し潰したらこいつだった。
いるんだね、身近なところにも。こいつにだけはやられたくない。
第1位 ハチ
コブラなんかよりよほど怖い。
ヘビに咬まれて死ぬ人よりハチに刺されて死ぬ人の方がずっと多いんだから。
巣にさえ近づかなければ滅多に刺されることはないのだけど、その巣がどこにあるかわからないから困っちゃう。
ハエより小さなテーンなんて、飛んでいるところが見えないから刺されて始めて気づくくらい。
この間も畑の草取り中に大型のアシナガバチにやられひどいめに遭った。
でもやっぱり怖いのはスズメバチ。
毒がとても強いから1匹にでも刺されたら躊躇なく病院へ行くことをお勧めする。
日本でもスズメバチが一番怖い虫じゃないかな。信じられないぐらい巨大だし。
ともあれ、素性がわからない虫はうかつに触らない方が無難。
そういえば、動物の糞に潜り込んで糞を食べる糞虫をカブトムシと勘違いして触りまくっている人もいた。
お気をつけください。
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