《タイ人と日本人の違い その1》日本人は許さない

タイ人

タイは進出する日系企業が多く移住先としても人気。しかし、その生存率はなかなか厳しいものがある。同じ仏教国、同じアジア、とはいえ、タイと日本はその実、根本的なところで大きくかけ離れており、これが撤退や失敗の原因になっている、という話。

 

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許さない日本、許すタイ

タイ人と日本人の違い。
数え切れないほどあるけれど、根本的なところでいうと「許さない日本」「許すタイ」ということになると思う。
日本人は人を許さない。
人から迷惑をかけられることに対し激しく反応する。
だから迷惑をかけるのを嫌がり、なるべく迷惑をかけまいとする。

ちょっとぐらいいいじゃないか社会

一方、タイ人が小さい頃から教えられるのは「許す」ということ。
タイ人は「ちょっとぐらいいいじゃないか」とすぐ口にする。
許さない日本人はこれを「甘え」と捉えることが多い。

「ちょっとぐらいいいじゃないか、なんて思うな」
日本人はよく口にするのだけれどタイは、
「ちょっとぐらいいいじゃないか。気にするな」
で成り立っている社会なのだ。

言い換えれば「迷惑をかけない社会」と「迷惑はお互い様社会」。
タイは同じ仏教国で同じアジア人。タイ人と日本人は似ている。
なんて思っていたら大きな間違い。
タイと日本は根底のところで異なっているのだ。

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整然と並ぶ日本人に驚くタイ人

日本人は規律を守らない者が許せない。
たとえば割り込み。
日本人がきちんと列をつくり整然と並んでいるのを見てタイ人はとても驚き感心する。

なぜ日本人はきちんと並ぶのか。
簡単なことだ。
割り込みが許されないからだ。
割り込みをすればされた方は腹を立て喧嘩になる。
だから並ぶ。

タイ人が割り込みする理由

タイ人は割り込みをする。
特に目立つのが路上。
検問や信号待ちで列を作っているところに後ろからきた車が平然と割り込んでくる。
なぜ割り込みをするのか。
許してしまうからだ。

もちろん割り込みをされる方は快く思っているわけではない。
でも「これくらいのことなら」と許してしまう。
日本同様、優しさというよりトラブルの回避。
タイ人の喧嘩は容赦なくしかも後を引く。
許し合う社会だが一線を越えてしまった相手は許さない。
やるかやられるかである。

タイの本当の魅力は人にあり

こういうことを書くと叱られそうだけれどタイの観光地はどこもそれほどではないと思う。
タイの色々な地方を見てきて「これはすごい」と心打たれたことはあまりない。
タイよりも風光明媚なところはたくさんある。
なのに世界中から人々がタイへやってきて世界トップクラスの人気観光地となっているのはなぜか。
人のせいだと思う。

基本、タイ人は鷹揚で人あたりがよく気さく。
外国人が何をしても多少のことなら笑って許してくれる。
この辺りに外国人は魅力を感じてしまい、また行きたくなる。
でもこれは迷惑をかけるだけの観光客だから。

日本人はなぜロングステーに失敗するか

観光客はお金を落としてくれるので歓迎されるわけだけれど、迷惑をかけるだけかけて去って行く存在。
住むとなるとタイ人同様迷惑をかけられても笑って許す寛容が要求される。
許せない日本人にはこれがなかなか耐えがたい。
好きだったはずのタイが段々うっとうしくなるのは生まれたときから培ってきた社会の原則がタイ社会の原則と相容れないからである。
このジレンマをうまく調節できなければストレスが溜まりいつかは弾けてしまう。
これが移住、ロングステーに失敗する大きな要因だとぼくは思っている。

ビジネスで失敗する理由

タイでのビジネスは、ビジネスそのものよりも従業員や取引先などタイ人との関わり方がうまくいかなかったため失敗、撤退せざるを得なくなることが多い、という話をよく聞く。
人間関係において許し合うことは大切だけれど、物作りやビジネスの世界では「ちょっとぐらいいいじゃないか」は通用しない。
ところがタイの人たちに「ちょっとぐらいいいじゃないか」ではすまないことをわかってもらうのは難事業。
タイ社会の原則に反しているからである。

この辺をいかにうまくやるかが成功のポイントなのだろう。
最もいけないのはタイと日本の違いを無視して強引に日本式を押しつけること。
この方式で成功した例をぼくは知らない。
「片目の国では片目をつむれ」
という言葉がタイにはある。

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タイ人
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