外国人が日本でびっくりする食べ物の一つ納豆。あのやりきれない臭さ。あの始末に負えないネバネバ。タイのスーパーでは普通に納豆が並べられているのを見るのだけれど、果たしてタイ人は納豆を食べるか。食べてどう思ったか、という話。
忘れられない初めて納豆を食べた日の衝撃
ぼくが生まれ育った愛媛は非納豆食県である（たぶん）。
生まれて初めて納豆を食べたのは中学の時。
兄が水戸から土産に持ち帰った
「へえ。これがテレビや本によく出てくる納豆か」
と期待に胸踊らせて口に入れたら、
「おげええ！」
思わずえずいてしまった。
足の臭いおじさんが履き続けた靴下を口の中に押し込まれたような気持ち悪さだった。
その衝撃は今もって忘れられない。
実は納豆があるのは日本だけではない
純日本人がこのありさまなのに純タイ人のタイ嫁とハイブリッドの娘たちは、
「あら、これおいしい」
ねばねば糸に手こずりながらも最初から平気で納豆をずるずるかき込んだのには呆れてしまった。
ツウなのか悪食なのか･･･。
本当に日系会社の社長さんが作ったタイで有名な納豆
納豆は、東南アジア、ネパール、中国、等にもあり、起源はよくわかっていないそうだ。
タイでは主に北部地方で食べられている。
といっても日本のような生の納豆ではなく、潰して乾燥させた薄焼きせんべい風納豆を調味料的に使うことが多い。
家でもよく料理に入れているので家の者たちは豆の腐臭になれていたのかもしれない。
スーパーに並ぶ日本納豆は誰が食べているのか
現在タイの大手スーパーにはたくさんの日本式生納豆が並べられている。
とてもタイ在住の日本人だけが消費しているとは思えないほどの量だ。
確かに北部には納豆文化があるけれど、生ではないし極めてローカルな食品である。
果して一般的タイ人は生納豆を食べるようになったのだろうか。
あの芳しい香りは気にならないのだろうか。
おいしいと感じるのだろうか。
納豆を食べたタイ人の感想
納豆を食した人に感想を聞いているサイトには以下のようなことが書かれていた。
〈好きよ。冷蔵庫に入れといて週１で食べてるわ。あの苦みとねばねばがたまらないの。体にとてもいいんですって〉
〈最初はおいしくなかったけど、慣れたら熱々のご飯に欠かせないね〉
へえ。ドリアンをむしゃむしゃ食べている人たちだから納豆くらいどうってことないのかな、と思いきや、
〈無理無理。まるでネコのゲロじゃないか〉
〈とても印象的だったわ。ジェットコースターで急降下するみたいに血圧が下がってくらくらしちゃった。忘れられない思い出よ〉
〈口に入れたとたん臭いが鼻を突いて涙が出てきた。でも咀嚼したらおいしくなるんじゃないかと思ってしばらく口に含んだままにしていたんだよ。で、覚悟を決めて味わってみたら目の前が真っ暗になって吐き出しちゃった〉
〈納豆を食べた日のことを思い出すたびに体が震えてしまう。もし時間を遡ることができるなら、納豆を食べなかった人生をやり直したい〉
ドリアン好きの国民も閉口の納豆臭
やっぱり納豆の臭いにびっくりする人が多い。
〈汚れ物の中に何日も埋もれていた靴下〉
〈サッカーをして三日間洗うのを忘れていた靴下〉
タイ人も納豆には汚れた靴下の臭いを感じてしまうようだ。
そして臭いとともに驚愕、閉口するのが糸。
な、な、なんなんだこの糸は
〈腐った臭いを我慢して口に入れたら苦くてねばねばべとべと。まったくもってやりきれない。悪魔の食べ物だ。いや、こんなの食べ物じゃない〉
〈絶対に店で食べるんじゃないよ。にちゃにちゃねばねば、臭い糸が口から手からくっつきまくるわ、くすくす笑われるわ、すっげえ恥ずかしかった〉
ぼくも初めの頃は糸の切り方を知らなかったから糸があっちにくっつきこっちにくっつき、漱石のモチに苦戦するネコのような目に遭った。
なのに納豆好きはさらに強力な糸引きを求めて砂糖まで加えるというのだからどうかしている。
いずれにしろ、タイ人もスーパーに並ぶ納豆をそこそこには買っているようだ。
その大半は凄まじい恐怖を味わい一度で懲りてしまうけれど、何割かの人たちは納豆菌に臭覚を冒され納豆中毒にかかっているのではないかと推察される。
社長さんは安くておいしい納豆が食べたくて作った
ちなみにタイの人たちはクレヨンしんちゃんとかちびまる子ちゃんとかテレビアニメやドラマの中の納豆を見て興味を持ちスーパーの納豆に手を伸ばすようだ。
タイの全人口からすればテレビに騙されて納豆を買う人はまだまだたくさんいるに違いない。
ぼくはタイにきてから納豆がおいしく食べられるようになった。
意外なことにタイ米と納豆はよく合う。
本当だよ。
コメント