おいしいオオコオロギで始める昆虫食

食べ物など

行く行く人類は昆虫でタンパク質を摂取
せざるを得なくなるだろうといわれている。
現在、昆虫食の主流はコオロギ。
その食用コオロギの王ともいえる
タイワンオオコオロギについての話。

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欧米で人気の昆虫食

「フランスを始めヨーロッパ各地で昆虫食が定着」とテレビで紹介していた。
時代の先端を行く身なりのよい人たちがレストランで美しく盛り付けられたミルワーム(生餌に使われる虫の幼虫)の類をナイフとフォークで神妙に口に運ぶ。
わあ。
家庭では虫の粉末を練り込んだパスタを頬張り、ナッツならぬ虫入りチョコをおいしそうにかじる。
わわわわわあ。
わたくしタイに住んで数十年。オケラちゃんであろうがタガメちゃんであろうが愛しちゃう。
でもこれにはかなりぞわぞわっときた。
似たようなものでも種類や食べ方が異なると拒否反応を起こすらしい。

今なぜ昆虫食なのか

それにしても、今なぜ昆虫食なのかというと、人口増加、環境破壊に伴う食糧危機に対する懸念である。
これまで人間は主に肉魚をタンパク源としていたわけだけれど、豚、牛のような家畜は大量の餌を必要とし無駄が多い。魚も同様。
その点、昆虫は餌で体を作る効率が家畜の数十倍もよく餌が少なくてすむ。加え、高タンパク質、高ミネラル。養殖、繁殖も容易。利点だらけなのである。外見以外は。
行く行く人類は昆虫でタンパク質を摂取せざるを得なくなるだろうといわれている。

で、やがてやってくる食糧危機に想いを馳せ、人類の未来を憂う知的な人々が、
「今の私にできること。それは人類のために無駄な肉魚の消費を減らし虫を食べることだ」
という結論に至ったわけである。
やっと時代がタイに追いついた。
タイは世界屈指の昆虫食国だ。
ぼくもタイに移り住んで以来様々な虫を食べ、先駆者として人類に多大なる貢献をしてきた。
エヘン。

昆虫食入門に最適コオロギのスナック菓子

現在の昆虫食の主流はコオロギのようだ。
味はまあまあで見かけもそれほど悪くない。
何より養殖が比較的容易で安定供給が可能である。
スーパーやコンビニでは何年か前から袋入りのコオロギスナックが売られるようになった。

コオロギスナック

コオロギを使ったスナック菓子

ゲテモノとしてではなく、ごく普通の菓子としてポテトチップなど一緒の棚に並べられている。
15gしか入っていないのに値段はポテトチップよりやや高い。
にも関わらず売り上げは好調。
それだけの価値が認められているということである。
試しに1袋買って食べてみた。

コオロギのスナック菓子

とても食べやすく味もよい

脚はみなとってあり食べやすく、まったく虫らしい味はしない。
もう本当に普通のスナック。
昆虫食の入門用としてもよいのではないかと思う。

コオロギ王チクン(タイワンオオコオロギ)

チクンは、チンクン、チンクローン、チーポーム、などとも呼ばれる。
普通のコオロギとほぼ同等のタンパク質(15パーセント以上)と倍の脂質を含み、図体は数倍でかい。
しかも虫らしい臭みがなく味がよい。
何も知らない人に目隠しをして食べさせれば大多数はおいしいと答えるだろう。
現在、食用虫は養殖コオロギがかなりの比率を占めているのだが、その味、ボリュームからいえば断然チクンである。
「コオロギ大王」の称号を与えてやりたいくらいだ。

タイワンオオコオロギの食べ方

食べ方は、たくさん手に入れば、塩、しょうゆで味付けて炒る。
ワタとヒゲ、羽以外はすべて食べられるものの、頭、胴、脚の部分は硬い。
最もおいしいのは柔らかでまったりした腹部である。
数匹しかない場合は、煮て炒った後、唐辛子などとともに臼で搗いてナムプリック(辛いなめ味噌)にして食べるのが一般的だ。

北部人、東北人のタイワンオオコオロギに対する思い

《ぼくは偏食で虫やトカゲの類は一切食べないけど、チーポームだけは好き。とってもおいしいよ》
《チクン、とってもおいしいですわよ。私たちの村ではかなりレアで1匹2バーツ。チクン入り玉子焼き、ナムプリック、ラーブ(タタキ)をおすすめいたします》
《塩を振って炒るとおいしいし、バナナのつぼみを入れたホーモック(包み蒸し焼き)もいけるよ。ステーキと交換してくれ、といわれても嫌だね》
《食べたくても今はなかなか食べられないです。20年前で1匹1バーツでした。ケーン コップ(カエル汁)、ケーン ブアップ(糸瓜汁)、ケーン ノー(竹の子汁)などに入れて食べたいです》

オオコオロギ

むっちりとした体つきのオオコオロギ

《冷凍庫で保存して食べるときはチンします。その熱々にチーズをかけると最高(本当かなあ)》
《とても好きよ。食べたらきっと病み付きになるわ。でも手に入れづらいのが残念》
などのように、チクンを滅多に口にできないご馳走と認識している。

都会人の思うタイワンオオコオロギ

バンコクを中心とする中部の人たちにはあまり馴染みがない虫のため、
《北部へ行くと店のメニューによくあって、店の人は、おいしいよ、ってすすめるのだけれど、その実物を見たら心が萎えます。ぼくにはゴキブリに似て見えとても不気味》
《食べる前に目をつぶらなければなりませんでした。怖い》
などと、一般的日本人に近い反応を示すようだ。

タイワンオオコオロギの捕り方

チクンは日中、深さ50cmほどの巣穴に潜み、夜に這い出て植物の葉を食べる。
捕獲するするにはその巣穴を1匹ずつクワで掘り出さなければならない。
旬は産卵期の10月から11月。
この頃、田舎の人たちは、公共の土地、人の土地かまわず掘りまくり、あちこちに大穴をつくる(その穴を埋めないもので夜道など足を突っ込んで転び危険だ)。

袋入りのオオコオロギ

袋に詰めて売られていたオオコオロギ

ぼくも昔はよくチクン掘りをした。
穴は曲がりくねり、いくつものフェイク穴があるため、穴に指を突っ込んで方向を確認しながら掘り進めていくのがコツである。
チクンを巣穴の奥に追い詰め、捕まえようとすると、チクンは後脚をバチッとバネのように弾いて一撃する。これがなかなか強烈で痛い。まとまった数を捕るには相当量の汗を流し指を傷つけることになる。

タイワンオオコオロギは高級食材

チクンは決して珍しい虫ではなく、家の周辺でもよく見られるのだけれど、このように捕獲に労力を必要とするためよい値段で売買される。
チクン十数匹がおよそラーメン1杯分に相当し、1キロ当たりの価格にするとチクンの方が肉よりも遥かに高い。
ステーキよりチクン。これが現地の人たちの価値観である。
今のところチクンを肉魚の代わりにするわけにはいかないようだ。
ちなみにチクンは土中に巣を作り暮らすため養殖が困難。
出回るチクンはすべて穴を掘って捕らえた天然ものである。

**********
料理を「目で食べる」といわれる日本では虫がゲテモノ扱いされてきたわけだけれど、欧米さんたちが昆虫食と真剣に向き合い始めた以上、欧米文化を追従する日本でもそのうち得意げに虫を食べる人が増えるに違いない。
「コオロギを食べない人は人生を半分損している」
なんてね。
パクチーの次のタイ発トレンドはコオロギですぞ。

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