地域や環境によって異なるので一概にはいえませんが、タイで出会う確率が高いアリは、ツムギアリ、黒アリ、砂糖アリ、痒ヒアリ、タノーイアリ、の5種。この中には強い毒を持つアリもいるので要注意、という話。
咬まれると痛いけど卵がおいしい – ツムギアリ(モット デーン)
このアリは糸で葉を紡いで木の上に巣を作るため正式名称はツムギアリ。
よくマンゴーの木にいるので日本人にはマンゴーアリと呼ばれます。
タイ語ではモット デーン。赤アリの意味。
暗いオレンジ色をした大型のアリです。
ツムギアリは鋭い強靱なアゴで人を咬みます。
スパッと皮膚が切れてしまいそうなほど。
ものすごく気性が荒く、知らずに群の中に足を突っ込みでもすれば即座に一個連隊が突撃開始。
身体に這い上がり猛然と食らいつきます。
その痛さといったら思わず裸で阿波踊り。パニックです。
柔らかいお肉が好きなので股間なんぞが特に危ない。
まわりに人がいなければまだいいんですよ。
ズボンもパンツも脱いでパタパタやれますから。
ゴルフ場とかでやられたら大変。
端から見ていたら面白いですけどね。
というわけでマンゴーの木の近くは特にお気をつけ下さい。
ちなみに、虫料理で有名なアリの卵はこいつの巣から採ったものです。
なかなかの珍味ですよ。
少し酸味があるので北部ではこのアリをモット ソム、酸っぱアリと呼びます。
恐怖のデストロイヤー – 砂糖アリ(モット ナムターン)
甘い物にたかる小型のアリです。
潰すと嫌な臭いがします。
果たしてこの砂糖アリと同一種なのかは自信がないのですが、家の中の意外なところに巣を作って困らせてくれる小型のアリがいます。
というのは巣を作る場所が壁の隙間とかじゃなくて人の持ち物なんです。
ぶら下げていた服のポケットであったり、片付けていた毛布であったり、引き出しの中であったりするのですからたまりません。
巣を見つけたときアリの蠢くゾワゾワ感といったらあなた・・・。
タイ嫁が壊れた置き時計を修理に持って行ったら中はアリだらけ。
「買い換えた方が早い」
と言われたこともあります。
今まで巣を作られたことのある場所は、時計、机の上の本の隙間、コンセントの中、カメラ、買い置きしていた包丁のケース、蛍光灯のケース、など様々。
電化製品をやられるので被害がでかいです。
小さなアリがしきり出入りしているようなところはすぐにチェックすることをお勧めします。
対策は、とにかく頻繁に出し入れをすることです。
長期間放置しておくときっとやられます。
弱毒でも大変な目に遭うことがある - 黒アリ(モット ダム)
家の周辺では一番多い中型のアリです。
とにかくどこにでもいて潰すと嫌な臭いを発します。
そう危ないアリではありませんが、ギ酸を吐きかけるタイプで咬まれるとチクリ痛みます。
壁の上の方を這っていたコイツらに殺虫剤を吹きかけたところ、弾みでまだ生きているやつが上から落ちてきて目の中に入ったことがありますが、それはもう大変でした。
対策はアリ用チョークが有効です。
アリシャワー
シャワーを浴びようと、蛇口をひねってしばし。
「うわあっちちちち。なななんだこりゃ」
体のあちこちが急に痛み出しました。
体に目を落とすと、ゴマをまぶしたように黒い粒粒があちこちにへばりつき、しかも動いている。
黒アリでした。
アリども、何を思ったかシャワーの湯が出る穴から潜り込み巣を作ろうとしていたらしい。
そのアリがシャワーから湯と一緒に次々飛び出してきて身体にしがみつき、コノヤロ、コノヤロ、とばかりに蟻酸をはきかけやがったのでした。
名付けてアリシャワー。
タイでは思いもよらないことが起きるのであります。
人をも殺す毒アリ- タノーイ アリ(モット タノーイ)
タイで日本人が出会う可能性のあるアリの中で毒性が一番強いのは多分、タノーイアリ(北部ではモット リン)。
こいつは尻に針を持つアリで、その針を抜いては刺し抜いては刺し、毒液がなくなるまで刺しまくるそうです。こわっ。
毒は強烈でアナフィラキシーショックを起こし亡くなった人が何人もいます。
アレルギーでない限りそこまでいくことはありませんが、アリもハチの仲間だということを知っていた方がよさそうです。
全身黒いモット タノーイ ダムと胸の辺りが赤いモット タノーイ オック ソムがいて両方とも刺します(タイ嫁は赤い方が痛いといっております)。
大きさはツムギアリぐらい(マンゴーアリ)。わりと大型でスマート。
木の洞とか落ち葉の下とかの周辺をうろうろしているので庭や畑を持っている人は要注意です。
家の中にはまず入ってきません。
確かに危険なアリですが、実際にはハチに刺される方が危険度は高いです。
身近で最も危ない毒アリ- 痒ヒアリ(モット カン ファイ)
日本でも話題のヒアリ、タイはそこら中にいます。
といっても同じ仲間の別種ですけどね。
タイ語ではモット カン ファイ(痒ヒアリ)。
北部ではモット デーン ファイ(アカヒアリ。赤火蟻。中部とは別種かも)と呼びます。
赤っぽい3-6mmほどのアリで、地表に砂土を盛り上げた巣や道を作ります。
このアリの被害に遭うときはたいてい知らずにアリの巣や行列を踏んでいるので下をよく見て歩くことです。
日本人が最も遭遇する可能性のある毒アリで、咬まれると名前の通り火を押しつけられたような痛みと痒みを感じます。
「こんな小さなアリが!」
人によっては驚くほどの症状がでます。
咬まれた場合は、ハチに刺されたときと同様にきれいな水で毒を洗い流す、幹部を冷やす、などするとよいそうです。
このアリもアレルギー体質の人は危険。
咬まれても部分症状だけならまず心配は要りませんが、15分ぐらい経って幹部がぼっこり腫れ上がり、発疹、吐き気、息苦しさ、めまい、発汗、痙攣、などの全身症状が現れたらすぐ病院へ行ってください。
以上。
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