言葉の学習は単語を覚えると同時に、
表現の違い、その背景にある考え方、
発想を学ぶことが大切。
今回は目をテーマにして例を挙げて
みたいと思います。
目を皿のようにする
日本人は皿を上から見ますが、タイ人は、皿=平たい、とイメージしているのでたいてい皿を横から見た図を想像するようです。
「目を皿のようにしてみて」
というとほとんどの人は目を細めます。
目が高い
タイ嫁に「目が高い」の意味を訊ねたら「背の高い人の目」と答えました。
なるほど。
タイ語で表現するには別の言い回しが必要で意外に難しい言葉です。
目がない
目がないには「見分ける能力がない」「とても好きである」の2つの意味があります。
タイ人には二つとも通じません。
目がない、はそのまま目のないお化けのような様を思い浮かべます。
生き馬の目を抜く
生き馬の目を抜く。なんと残酷な・・・。
タイ人にはまったく理解できない言葉です。
娘は2人とも通訳をしているのですが、この語を訳させて見たところ頭を抱えてしまいました。
目が硬い
これは珍しくタイ語も日本語も同じ意味です。
夜目が冴えて眠れない様を表します。
このほか、目が利く、目が曇る、目じゃない、目の色を変える、目を配る、目を凝らす、目を三角にする、目を白黒させる、などなど、目に関する語の多くは直訳してもタイ人には通じません。
こういった語、たとえば「見る目がない」などを何とかタイ語に訳そうと頑張る人もいますが、そもそもこれは日本人の表現であるため、タイの人に理解してもらうのは容易ではありません。
日本語をタイ語に訳すのではなく、タイの人たちはどういう表現をしているのか、が大切です。
上の例であればもう「見る目がない」という言葉は捨てて「選ぶのが下手だ」とか別の表現を探す方が早道ではないかと思います。
国語辞典を引いてその意味からタイ語に訳して見るのもよいかもしれません。
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今度はタイ人の使う目に関する表現です。わかるかな。
目が緑 (ター キオ)
緑内障のことではありません。
怒った表情の表現です。
日本語で言えば、目を吊り上げる、目を三角にする、の類。
目が白い (ター カーオ)
白目のことですが、もう一つ「びくびくした、臆病な」の意味もあります。
日本語の「白目でにらむ」とはぜんぜん違いますね。
目を突く (タム ター)
目を突く、つまり「目に突き刺さる」「はっきりと目にした、見た」の意味です。
目をつかむ (チャップ ター)
チャップは「つかむ、触る、捕まえる」ことで、チャップ ターは「目をとらえる、目を引く」「注目、注視する」「目に叶う」の意味です。
目に触れる (トゥーグ ター)
トゥーグは「触れる、当たる」「合う」など色々な意味があります。
ここでは「目にかなう」「魅かれる」ぐらいの意味です。
目を切る (バート ター)
バートは「(指などを)切る」こと。
バート ター は「不快な印象を与える」「目障りな」の意味です。
目で遊ぶ (レン ター)
レン は「遊ぶ」こと。
流し目をしたり、目や眉を動かして色目を使うことです。
流し目、色目ともに直訳をしたのではタイ人に通じません。
目を置く(ワーン ター )
目を伏せたり視線を外すことをタイ語では「目を置く」と表現します。
この語は「目を置くことなく・・・」と否定的に使われることが多いようです。
目をつまずかせる (サドゥット ター)
目がつまずく、目をつまずかせる。つまり、目が引っかかって「目立つ、目を引く」ということです。
以上。
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