《空飛ぶランタン》ローイクラトン祭りの雑学

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タイ二大祭りの一つローイクラトンはいわばタイの灯篭流し。幾つもの幾つもの灯篭(クラトン)がロウソクの炎を揺らしながら川面を流れ夜空には数多のランタンが漂う幻想的なローイカトン祭りの話。

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ローイクラトンって何?

ローイクラトン(カトン)とは旧暦十二月の満月の夜にバナナの葉や幹で作った小さな円形の器(クラトン)を流す(ローイ)祭り。
もともとはインドの祭りだったのが、タイでは農民が作物を育てるのに欠かせない水に感謝し水の女神に許しを請う祭りとして取り入れられた。
北部、東北部で特に盛ん。中部や南部ではそれほどの盛り上がりはない。

ローイクラトンには何をするのか

ローイクラトンのメインイベントはクラトンを流すこと。
祭りの夜、人々はクラトンを持って近くの川へ行く。
そしてロウソクと線香に火を灯したクラトンを捧げ持って祈った後、静かに水に浮かべる。

クラトンはバナナの幹を土台に葉で飾る

クラトンはバナナの幹を土台に葉で飾る

クラトンの中に髪の毛や切った爪を入れるのは罪や厄を流してしまおうということらしい。
昔は寺で盆踊りのようなこともやっていたのだけれどこの数十年で廃れてしまった。
このほか家の周りにロウソクや提灯を灯したりランタン(コームローイ)を飛ばしたりもする。

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イーペンとローイクラトンの関係

ローイクラトンの時期、北部ではよくジーペン(イーペン)という言葉を耳にする。
ジーペンは簡単にいえばかつて北部にあったラーンナーという国で行われていたローイカトンのこと。
ジーペンのジーは2。ペンは北部語で満月の夜。
つまりラーンナー歴の2月の満月。タイ歴の12月の満月、新暦の11月前後に当たる。

空飛ぶランタンフェスティバル

ジーペンの夜にはランタンを飛ばすことから外国人には「空飛ぶランタンフェスティバル」などと呼ばれ、数多くの人たちがわざわざチェンマイまでランタンを飛ばしにやってくる。

固形燃料に火をつける

固形燃料に火をつける

「塔の上のラプンツェル」という映画のモデルになった、とジーペンに関する日本語のサイトには必ず書かれれているところを見ると、この映画をきっかけにジーペンを知る人が増えたようだ。

コームローイを飛ばす理由

空飛ぶランタン、タイ語ではコームローイと呼ばれる。
コームは「灯篭、提灯、ランタン」、ローイは「流す、漂わす」。
日本風に言えば「提灯飛ばし」だね。
なぜコームローイをするようになったのか。
神を敬うため、神を天に送るため、厄を放つため、などいくつか節があるがはっきりしたことはわかっていない。

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コームローイはどうやって飛ぶのか

コームローイは竹もしくは針金と紙で作られ折りたたみ式。
一番下の中央に小さな固形燃料もしくはロウソクが針金で固定されている。
それに火をつけると熱で空気が暖まり空へ舞い上がる仕組みだ。
ようするに簡素な熱気球。

コームローイは紙でできている

コームローイは熱で飛ぶ

熱源を設置せず、焚き火の上に紙製の大きな袋をかざし、暖かい空気をたっぷり送り込んでから飛ばすコームローイもある。
コームローイには昼間飛ばすものと夜飛ばすものがあり、昼間寺などから飛ばすものはたいていこの方式だ。

コームローイを飛ばした後はどうなるか

コームローイを飛ばすのは面白いし見ていてとてもきれいで何か根源的な感動を呼び起こされる。
でも、飛ばしたものはやがて落ちてくることをなぜかみんな考えようとしない。
チェンマイではコームローイのせいで飛行機が発着できない事態になっている。
ロウソクはたいてい上空で消えるのだけど火がついたまま落ちてきて火事になることも珍しくはない。

飛ばすのは面白いのだが

飛ばすのは面白いのだが

風の関係か家にもたコームローイがよく落ちてくる。
屋根に落ちると長く引っかかったままなので迷惑っちゃ迷惑。
自分の飛ばしたコームローイもきっと誰かの迷惑になっているのだろう。
この点、飛ばすだけ飛ばしておいて「後はヨロシク」で済む観光客は楽だよね。

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クラトンがハスの花の形をしている理由

現在のクラトンはハスの花の形をしているのだが、その理由は以下の通り。
700年ほど前のスコータイ時代、幼い頃から美人の誉れ高かったノパマートという女の子が十五歳のとき王様に召された。
彼女は後宮に入って間もなくやってきたローイクラトンでハスの花をかたどった今までのとはちょっと違うクラトンをつくった。
王様はたいそう喜び、以後クラトンはこの形にするようお触れを出し今に至ると言われている。

ローイクラトンで美人コンテストが行われる理由

ローイクラトンには町の各地区から大きなクラトンの山車が出され目抜き通りをパレードして競い合うイベントがある。
その山車の上には必ず美女が乗る。
これは先のハスの花を模したクラトンを考案した才女ノパマートにちなんだもので山車の上に乗る美女のことをナーン ノパマートと呼ぶ(ナーンは夫人の意味)。

けっこう高いところまで上がる

けっこう高いところまで上がる

家柄がよく英才教育を受けたノパマートは学問に秀で詩人でもあった。
タイ女流作家の祖とも言われている。
さしずめ紫式部といったところであろうか。

ローイクラトンの楽しみ方-まとめ

ローイクラトンの日、地元の人は以下のようなことをして楽しんでいる。

・土器に入ったロウソクを買ってきて火を灯す(1袋30個ぐらい入っている)。
・ラーンナー様式の提灯を吊す。
・盛大に炎が上がる土器に入った花火で楽しむ。
・鬼爆竹を炸裂させロケット花火を飛ばして遊ぶ。

土器タイプより普通のロウソクの方が安い

土器タイプより普通のロウソクの方が安い

・お寺で地域のクラトン作りをする。
・地域のクラトンコンテスト大会を見に行く。
・美人コンテストを見に行く。
・コームローイを飛ばす。
・クラトンを川に流す。

*タイ嫁の兄弟が幼かった頃はみんなでローイクラトンの歌を歌いながら近くの川へクラトンを流しに行った。
ある年、タイ嫁は浮かべたクラトンに水をかけ流れに乗せようとしているうちドボン!と川へ落っこちた。
よい想い出である。

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