タイ名物、ノーマーイドーン。水に浸けて酸味を出した酸っぱいタケノコ。発酵による複雑なうま味。ちょっぴり臭うけど、はまる人ははまってしまう食材です。
タイ名物、酸っぱいノーマーイドーン
タイのカレー屋、汁かけ飯屋(ラーン カオ ケーン)では、店先に並べられた料理の中に薄く削いだ竹の子の炒め物や汁物をよくみかけます。
人気の料理だから食べたことがある方も少なくないんじゃないかな。
この手の料理に入っている竹の子は生ではなく水に漬けた竹の子、ノー マーイ(竹の子)ドーン(漬ける)。
漬けタケノコはタイ人がこよなく愛する食材の一つです。
漬けタケノコ、ノーマーイ ドーンはおいしいか
「ノーマーイ ドーンっておいしいの?」
と訊かれたら、
「ちょっと臭う。でもおいしい」
と答えます。
醸し出された食欲をそそる味
タケノコは水に漬けることによって様々な味が生成され複雑な味を醸し出ます。
とりわけ酸味が前面に出てきて食感もしゃきしゃき。
何の変哲もない味のタケノコが妙に食欲をそそる味に大変身、というわけ。

タケノコを水に漬けると酸味が出てくる
ただ、水に浸けているうち癖のある匂いを放つようになります。
好きな人はこの匂いを含めて好きなんですが、鼻をつまむ人もいるかもしれませんね。
でも総じて日本人の評判はよく、
「生のタケノコより味がついていておいしい」
という声も聞かれます。
ノー マーイ ドーンの製法
1.削いだ竹の子を水に一晩浸ける。
2.水を切ったのちに塩をまぶし、ビニール袋やペットボトルに水とともに入れて口を閉じる(水を加えないこともある)。
超簡単。
通常、数日~2週間。酸味を早く出すには、米の研ぎ汁、砂糖、塩などを混ぜます。
使う竹の子の種類は色々。日本の竹の子でいうと淡竹に近い種類をよく使うようです。

タイのタケノコ
味は悪くないし、作り方は簡単だし、竹の子はたくさんあるし、なぜ日本ではノーマーイドーンを作らないのかなあ(一部地域では似たようなものがあるとか)。
もったいないですよね。
我が家の酸っぱ竹の子
ぼくの暮らすタイ北部では漬け竹の子を酸っぱ竹の子(ノー ソム)と呼びます。
家の酸っぱ竹の子の作り方は、竹の子を薄く削いで一晩水に浸け、水を切るところまでは漬け竹の子と同じですが、その後、ビニール袋に竹の子と水を入れてもう二晩ほど寝かせるだけ。
漬物で言ったら浅漬け。塩も米の研ぎ汁も入れません。

袋、もしくはペットボトルに入れて漬ける
でも酸味はけっこう出るし臭いがきつくないので、腐敗、発酵系の臭いが駄目なぼくには食べやすいです。
「そんなの漬け竹の子じゃないわい」
とツウに言われそうですけどね。
酸っぱいタケノコの食べ方
酸っぱ竹の子は、炒めたり、汁物にしたり、蒸したり、幅広く使えます。
ただし、浅漬けタイプの酸っぱ竹の子は保存がきかないので早めに食べきらないとなりません。
唐辛子などで和えた酸っぱ竹の子を細切れ肉と炒めたパット ノーマーイ ドーン(コア ノー ソム)は肉との相性がばっちりでうまうまですよ。
酸っぱいタケノコ料理の最高峰
ちなみにぼくが一番好きなのは、ツチグリという球体のキノコと酸っぱ竹の子の炒め物(ヘッド トーブ パット ノーソム)。
これは本当にうまい。
ぷちんと弾けるクリーミーなキノコに酸っぱい竹の子。彩りを添える赤い唐辛子。思い出すだけで唾が沸いてきます。
残念なことにツチグリはタイ北部や東北部でしか食べれていない地域限定の食材。

わかる人にはわかるこのうまさ
しかも旬がとても短く、雨季前の数週間しか出回らない超レアな食材でもあります。
ツーリストがもし口にする機会があったとしたら神に感謝してもいいくらいです。
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