米大国が産んだ迷ソーセージ
タイの市場や繁華街周辺にはよく炭火焼ソーセージの屋台が出ています。
大ぶりなソーセージはコンロの上で罪な匂いを漂わせながら焼かれ、こんがり焦げたところなんか実にうまそう。
しかも一本十バーツ前後ととても安い。
たまらず焼き立てを一本もらい、いっきにかぶりつく。
ぷつん、と弾けたソーセージの中からは……えっ?えっ?
春雨がにょろり。ご飯粒がぽろり。
しかも酸っぱい。
怒るもよし。驚くもよし。笑うもよし。
これぞ米大国タイが世界に誇る米ソーセージ。
米ソーセージとは
米ソーセージはタイ語でサイクローク(腸詰め)カーオ(ご飯)。
ご飯のほかに春雨を混ぜることもあって、この手のタイプはサイクローク ウンセン(春雨)と呼ばれます。
本家の肉ソーセージは肉を発酵させるためご飯を混ぜるのですが、利益重視の売り子たちにより肉の量が減らされるのに反比例して米の含有率が増えていき、ついには春雨まで加えられる惨事になってしまった。
と愚察しております。
安価だしこれはこれでけっこういけるので、食べる価値あり、です。

米ソーセージの正しい食べ方
本家東北肉ソーセージ(サイクローク ムー)はご飯と食べますが米ソーセージは主成分がご飯。
ご飯をご飯のおかずにする人はいませんね。
なので小腹の空いたときにおやつとしてかじりつきます。
肉ソーセージ同様、買うと必ず添えてくれる、キャベツ、新ショウガ、漬けショウガ、唐辛子、パクチー、などと一緒に食べればおいしさが引き立ちます。
※サイクロークのクロは二重子音といって母音を挟まずに発音するのでサイコークと言った方が通じやすいです。

左はずんぐり米ソーセージ 右はサイウア

北部の絶品ハーブソーセージ(サイウア)とは
東北にサイクローク イサーンがあるなら、北部にはサイウアがあります。
サイは「腸」、ウアは「詰める」。
つまり「腸詰め」の意味。
実は、サイクローク イサーンも昔はサイウアと呼ばれていました。
この二つ、元は同じでそれぞれ別の進化を遂げていったのだとか。
サイウアも屠った家畜の肉を有効利用するために工夫された食べ物だったのですが、今は日常のおかずとして愛され、土産としても人気があります。
「北部ではこれだけは見逃せない!」
「私の食物史はサイウアを知る前と知った後に分けられる!」
「冷えたビールとサイウア、この世の天国!」
などと日本人も絶賛。
何しろ地元でしょっちゅう食膳に上るものですから今まで気にとめたこともなかったのですが熱狂的ファンが多いのにびっくりしています。
※チェンマイソーセージと書く人もいますがサイウアはチェンライ県やペー県など北部全体で食べられていますのでチェンマイソーセージは正しくありません。ほかの県の人から抗議されてしまいます。

北部式はハーブ類がたくさん入っている

サイクローク イサーンとサイウアの違い
サイコーク イサーンとサイウアの大きな違いはご飯粒。
サイコーク イサーンはご飯粒を混ぜて乳酸発酵させ酸味を出しますがサイウアはご飯粒を加えません。
その代わり、ハーブ類を練り込みます。
また、くびれを作らず、蛇のようにとぐろを巻いているのが外見上の特徴です。
発酵させていないため酸味はありません。
ハーブの効いた意外にソーセージらしい味です。
※スーパーや土産物屋では真空パック包装のサイウアが売られています。
※市場などでは量り売りなのでとぐろを巻いたサイウアから欲しい分だけ切ってもらいます。

とぐろを巻いているサイウア


サイウアの作り方と食べ方
作り方
・乾燥唐辛子、にんにく、レモングラス、なんきょう、パクチーの根、コブみかん、ウコン、シャロット、などを臼で搗く。
・挽いた豚肉と混ぜ合わせて塩、カピなどで味付け。
・腸に詰め、弱火でじっくり焼く、もしくは揚げる。
サイウアはご飯(もち米)と頂きます。
普通はそのまま食べますが、フライパンで焼くか、レンジでチンするといっそうおいしくなります。
ちなみに、わが村のラーおばさんがつくるサイウアはハーブと肉の混ざり具合が絶妙でしかもジューシー。
パサパサしたチェンマイの某有名店のものよりずっとおいしい。知られざる名品です。
以上
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