タニシの食べ方と味
昔は食材が豊富でなかったし、つれあいや婆様が好きだったせいでしょっちゅうタニシを食べました。
タニシはこの村に住んでから覚えた味です。
海の近くの生まれなので日本では食べたことがありません。
タニシはたいてい汁(ケーン、ゲーン)にします。
砕いた煎り米を加えとろりと仕上げるのが北部風(ラーンナー)です。
タニシの身は弾力があってコリっとした感じ。
よく泥抜きしてあったせいか臭みを感じた記憶はないし、あっさりしていて日本人好みです。
*中部地方のタニシ汁はココナッツミルクを入れるので北部のものよりまったりしています。
汁のほか、辛子味噌で炒めたホーイコムパッチャー、ゆでタニシを香辛料で和えたラーブ ホーイコムなどが代表的なタニシ料理です。
*日本ではケーンをカレーと訳すようですが、ケーン=カレーとすると、ケーン ホーイのようにまったくカレー的要素のない料理(むしろこちらの方が多い)もカレーとしなければならず、おかしなことになります。やはりケーンは「汁物」と訳すべきでしょう。
*季節によるのか、ときどき子持ちのやつがいて、こういうのを口にいれると子タニシの殻がジャリッときて閉口します。
素人には難しいタニシ吸い
タイ北部は主食がもち米。伝統的に手を使って食事をします。
タニシも殻を指でつまみ口をつけてチュパッと吸い取るのですが、これが難しい。
やみくもに吸っても実は出てきません。
一発で決めるつれあいたちを尻目に何度も何度も吸い込み悪戦苦闘。
空気で腹がいっぱいになってしまいそうでした。
タニシはタイ語でホーイコム。
お国言葉でキス貝(ホーイ チュープ)とか吸い貝(ホーイ ドゥート)ともいいますが、これは食べるときに貝に口をつけ思い切り吸い込むところからきています。
*家では吸いやすくするためにひとつずつタニシの天辺を鉈でそぎ落としていました。けっこうな手間です。時間に追われるようになった今では無理でしょうね。
そういえばタニシも
「そういえば…」的に姿を消してしまうものがありますが、タニシもその仲間入りをしたようです。
食卓にタニシを見かけなくなりました。
昔は本当にうじゃうじゃいて好きなだけ拾えたものですからタニシ売りは婆様が大半。一番下の職業のように思われていたくらいです。
*まだ小中学生だった義弟、義妹たちとタニシ掘りをしたこともあります。
乾季の間、タニシは集団で土の中に潜るため、穴を見つけて掘れば大量ゲット。
その義弟、義妹たちももう五十歳。儚いね。
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