タイ北部では寒くなるとエゴマのフリカケをまぶした餅米やエゴマを練りこんだ餅などをよく食べます。αリノレン酸を豊富に含み健康によいと言われるエゴマについての話です。
エゴマとは
エゴマは東南アジア原産でシソ科の植物。
葉は大葉に似ています。
ゴマとありますがゴマ科のゴマとは別種です。
近年、オメガ3を含む健康食品として注目されています。
エゴマは何によいのか―栄養と効能
エゴマの栄養面での特徴はなんといってもαリノレン酸が非情に豊富であること。
αリノレン酸は以下のような効果が期待できるそうです。
・血管の健康維持(血流をよくし血栓や動脈硬化を予防)
・アレルギーの抑制

健康志向の人に人気のエゴマ
αリノレン酸とは
αリノレン酸はオメガ3に分類される不飽和脂肪酸。
体内で EPA や DHA に変換され、血流改善、動脈硬化、心筋梗塞、などの予防効果が期待できると言われます。
簡単にいえば身体に良い油です。
ただし過剰摂取は肥満に通じるとのこと。
EPA(エイコサペンタエン酸)
青魚に多い必須脂肪酸で血液中の血小板を固まりにくくする働きがあります。血管の詰まりを防ぎ、血液をサラサラにして血液の循環をよくする効果が期待されます。
DHA(ドコサヘキサエン酸)
EPA とともに血流を改善し、脳や神経の働きを高めます。
また、視力回復、アレルギーの抑制効果も期待できるのだとか。
タイ式エゴマの食べ方
タイ北部では昔からエゴマがよく食べられてきました。
そんなに応用の効く食材ではないようで主な食べ方は3通り。
エゴマフリカケ飯
最もポピュラーなのはカオ ヌック ガー。
臼で潰したエゴマに塩を混ぜ熱々の餅米にまぶしたものです。
簡単にいえばエゴマのフリカケ飯ですね。
*人によってはこれに砂糖を追加したり粉黒糖をかけたり、黒糖を添えたり、おやつ的な食べ方をすることもあります。

見目はあまり麗しくない
エゴマフリカケは新米と
エゴマのフリカケ飯は寒い季節(11月から1月)限定の食品です。
理由は、新米の出回るのがこの時期だから。
新米は軟らかくエゴマのフリカケがよく混じっておいしく食べられます。
ほかの季節でもかまいませんが鮮度の落ちた餅米は硬くなるためエゴマフリカケをかけても新米ほどのおいしさはないのだそうです。
また、新米の季節はちょうど新エゴマも出回るため、寒い季節にエゴマフリカケ飯がよく食べられるわけです。
作り方
エゴマフリカケの作り方は超簡単。
臼やすり鉢、あるいはミキサーなどで潰したエゴマに好みの量の塩を混ぜるだけ。
潰さない場合はプチプチ弾ける食感が楽しめますが消化のことを考えると潰したほうがよさそうです。
タイ北部では伝統的にエゴマは炒りません。
炒るとパサパサしすぎておいしくない、と現地の人は言います。
しっとりした感じの塩エゴマがお好みのようです。
エゴマは炒っても炒らなくてもかまいませんが、炒ったほうが香りは若干よくなります。

臼で潰すのが一番よい
エゴマ餅
エゴマをまぶした餅米を搗き薄い餅にしたのがカオ プック。
もともとはタイヤイと呼ばれる種族の食べ物で近年は「タイの山餅」と呼ばれたりもします。
炭火で焼き、黒糖や辛子味噌を巻いて食べればなかなかよいおやつになります。
ネット通販もされているようです。

通常は平べったい円形をしている
エゴマ黒糖
最後にガー タム オーイ。
炒ったエゴマに黒糖と水を少々加え手臼で搗いたおやつです。
十年ほど前までは市場で普通に売られていたのですが今はこのような古めかしいものを食べる人も少なくなったのでしょう、滅多にみられなくなってしまいました。
エゴマの炒り方と保存
エゴマは粒が小さく火が通りやすい食材です。
熱で栄養分が壊れるしすぐに焦げてしまいますので弱火で炒り、パチパチ音がし始めるたら(あるいは音の出る前に)すぐに火を止めます。
エゴマの実は1年以上保ちますが時間とともに味が劣化するため、なるべく新鮮なうちに食べた方がよさそうです。
短期保存なら冷蔵庫、長期保存する場合は冷凍庫、ということになります。
生エゴマ、炒りエゴマともスーパーや健康食品を扱う店で販売されています(100g入り50Bくらいから)。
ちなみにタイのエゴマはかなり小粒です。
エゴマオイル
エゴマの実は豊富な油(40%前後)を含むため、実を搾ったエゴマ油が古くから利用されてきました。
αリノレン酸が豊富なエゴマ油は生活習慣病やアレルギーの予防に良いと言われます。
ただ、熱に弱く酸化しやすいため炒め物や揚げ物には不向きです。
タレや料理にかけて使うことになります。
これはエゴマ油に含まれるαリノレン酸の性質によるもの。
開封したエゴマオイルは冷蔵庫で保存し、なるべく早く使い切るようにします。
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