かつてはお袋の味の代表格だった
里芋の煮っ転がし。里芋は日本の
食材だと思われているだけれど
実は熱帯アジア原産。先日たまたま
里芋が手に入り煮っ転がしにした
ところ、ホワイトエレファントの
故事を思い出したという話。
タイにも里芋がある?
先日、夕食に里芋の煮っ転がしが出てきた。
「へえ。タイにも里芋があるの」
と驚かれるかもしれないけど、反対。
もともと熱帯アジア原産の里芋が日本に伝わり日本人が好んで食べるようになったそうだ。

里芋は熱帯原産
昔、ある方に日本の里芋の種芋をもらい庭に植えたら育つわ育つわ。
ざくざく里芋が採れよく煮っ転がしにして食べていた。
ところがその里芋、先祖返りでも起こしたか突如巨大化。
何となく不気味で食べなくなってからまったく煮っ転がしを口にしていない。
20年ぶりに煮っ転がしと再会
二十数年ぶりの煮っ転がしの再開。
お懐かしや。
タイ嫁が隣村の市場でたまたま売られていたのを買ってきて煮たのだけれど、よく作り方を覚えていたものだ。

タイ人の作った煮っ転がし
実は里芋、タイでも細々と栽培されている
もちろん、煮っ転がしにすることはない。
たいていシロップ浸けにし、菓子として食べる。
それ以外の食べ方をタイの人たちは知らないようだ。
里芋の売り子が、
「ねえ、これ、どうやって食べるの」
と、タイ嫁に訊いてきたのだとか。
食べ方も知らない物をよく売るものだと感心した。
厄介者ホワイトエレファント
ホワイト エレファント(白象)をご存知であろうか。
タイ語でチャーン プアック。
チャーンは象、プアックはアルビノ(白子)の意味。
東南アジア一帯ではとても神聖視されている動物でタイの場合、国内で見つかった白象はすべて一度、王様に献上される。
で、過去の王様たちは、権力と栄誉の象徴でもある白象を褒美として家来に与えた。

白象は権力の象徴
下賜された家来は大喜びするのも束の間、やがて困り果てる。
神聖な白象を労役させるわけにいかず、毎日、ひたすら餌を与え続けなければならないからだ。
とてつもない維持費がかかるのに役に立たない。
故障ばかりの大物助っ人外人といったところか。
しかも王様に頂いたものなのでどんなに嫌になっても売ったり処分したりできない。
このことからホワイト エレファントは「無用の長物、厄介もの」の意味でも使われる、と何かの本で読んだことがある。
タイでは知られていない白象の故事
調べたところホワイト エレファントは英語のフレーズで、王様が褒美としてではなく気に入らない家来を困らせるアイテムとして贈り、その家来を破滅に追い込んだ、と、少し意地悪な説明がなされていることが多いようだ。
そのせいだろう、この言葉、タイではあまり知られていない。
王様を絶対善とするタイの人たちには受け入れ難い説だからだろうか。
英語のホワイト エレファントを知っているタイ人も、由来はタイではなくビルマ(ミヤンマー)の故事によるものだと思っている。
ビルマの故事にあるホワイトエレファント
ビルマがイギリスの支配下に置かれた時代、白象は権力の象徴からただの珍しい動物に成り下がった。
1883年、白象が見つかったとき、あるイギリス人はその象をロンドンの動物園に送って儲けようと考えた。
しかし、当時は象に厳しい冬を越させることができず象は凍死。
同時に投資した莫大な費用は水の泡・・・。
このことから、
「あまりにも価値が大きくて捨てることができず、かといってとっておくこともできず、にっちもさっちもいかなくなることをホワイト エレファントというようになった」
と、タイの物知りは説明している。
ちなみに、白象に関するタイのことわざは、ぼくが知っている限り
チャーン プアック クート ナイ パー(白象は森で生まれる。偉大な人物は地方出身、の意味)
のみである。
里芋の呪いは続く
なぜ、ホワイト エレファントの話を思い出したかというと、また里芋の煮っ転がしが出てきたから。
チャーン プアックのプアックには「里芋」の意味もあり、そこからの連想。
それにしても、煮っ転がしなんて食べたことがないのに、だいたいの作り方を聞いただけででっちあげることができるなんて、この点に関してはタイ嫁もたいしたものだと感心している。
今回は再挑戦なので前回よりは少しましになったようだ。
恐らく、数日後にはまた出てくるはず。
3キロ買ったといってたから。
当分、里芋の呪いが続きそう…。
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