タイにはヤモリがどこにでもいますが、その数十倍でかい大ヤモリも普通にその辺を這っています。家に棲みつく大ヤモリが引き起こした事件の話です。
図体でかけりゃ鳴き声もでかい
「ちょっとお、ちょっとお」
真夜中、大声で起こされました。
夢うつつで辺りを見回すも人の気配はありません。
「気のせいか」
再び眠りかけると今度ははっきり聞こえました。
「とっとお、とっとお」
酒を置いている小さなスタンドと壁の隙間に棲みついている大ヤモリ、トッケーでした。
体調30センチ前後、淡い青の体色に橙の斑点がちりばめられ、それはそれは妖艶な巨大ヤモリです。
タイ標準語ではトッケー、外国人はゲッコー、この辺りではトットーと呼ばれます。
いずれもその鳴き声から付けられた名前です。
涼季には身を潜め3月頃の乾季に鳴き始めるので、
「トックレー(降れよ)トックレー(降れよ)」
雨を乞うているように聞こえるとお年寄りはいいます。
家の大ヤモリは8鳴き大ヤモリ
通常、大ヤモリは1日に何度も鳴かないのですが、家の大ヤモリはやたら鳴きます。
しかも、耳をつんざく大音量。
夢の世界なんて簡単にぶち壊してしまう破壊力。
しかも、8鳴き大ヤモリ。
普通は「トットー」を5回くらいしか繰り返しません。
それ以上は滅多に鳴かないことから「8回連続で鳴き声を聞いた者には幸運が訪れる」と言われているくらいです。
毎日、嫌になるほど幸運を呼び寄せてくれていたのですが、ある夜テレビを見ているときに何度も鳴かれて腹を立てスタンドをバンバン叩いたところピタリ鳴き止みました。
それがちょうど6回目だったらしく、以来6回しか鳴かなくなったのは不思議です。
ヤモリにもトラウマってあるんですかね。
昔なら見つけ次第殺したものですが、歳をとり仏となったわたくし、追い出すこともなくトットーと共存しております。
タイ嫁トッケー大ヤモリを捕まえる!
家は二人暮らし。タイ嫁は夜になると2階へ上がるので下にはぼくだけ。
で、トイレに入るとき蛍光灯をつけるのが面倒なためドアを開けたまま薄暗い中で小用を足します。
と、
ガサガサガサ!
「わっ」
上の方で大きなものが動く音がしたので天井を見るとトッケー大ヤモリが張り付いていました。
トッケーが家のどこにいようとかまわないのですがトイレは困ります。
嘘か真か、近所の村では女の人が暗い便所でしゃがんでいるときに、便器に潜んでいたトッケイに大事なところを噛まれ、病院へ運ばれたものの出血多量で死亡した、という事件があったそうです。
深夜寝ぼけて小用を足しているときに大切なモノをネズミの子供にでも間違えられて噛まれたら一大事。
タイ嫁、慌てず騒がずタモ網を手にとる
「トットー、トットーがトイレにいるぞ!」
階段を駆け上がり、スマホでゴッドタレントを見ていたつれあいに告げたら、
「そんなに騒がなくてもいいじゃない。わたしが捕ってあげる」
驚くと思ったのに意外な反応。
「やめとけって。噛まれたらどんなに力いっぱい引っ張っても外れないっていうぞ」
つれあいは聞く耳持たず、玄関に置いてあった魚をすくうタモ網を手にトイレへ入り、ドタドタ逃げ惑うトットーを見事捕獲。
いやあ、たくましいなあ。
普通の女の人なら悲鳴を上げるところですよね。
トッケーは殺さず庭に放ちました。
大ヤモリ来襲!
トッケートイレ侵入事件から数週間後の夜。
「どわっ!」
玄関を開けたら頭にどさっと重量感のあるものが落ちてきました。
もうびっくり仰天、驚天動地、驚愕、愕然、喫驚、恐れ入谷の鬼子母神。
大声をあげなら手で払えば、ドタドタ床を這う大ヤモリ。
この間逃がしたヤツでしょうか。
ドアを開けた弾みにヤモリが落ちてきて驚くことはたまにありますが。大ヤモリが落ちてきたのは長いタイ生活でも初めての経験。
オラ魂消ただよ。
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大ヤモリも最近は保護が叫ばれるくらい数を減らしています。
漢方用に干物にして大量に輸出されているのだとか。
中国人パワーってすごいですね。
ちなみに大ヤモリ、スープにするとけっこうおいしいそうですよ。
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