《ドリー、バサの謎》あなたも知らずにナマズを食べている

食品

近年、よく見かける白身のフィレット、バサ。スケトウダラに似ていると評判で、弁当チェーン店やファミレス、給食センター等でもよく使われているそうですが、そのバサの正体を知ってびっくり仰天!という話。

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絶賛される冷凍ナマズ、バサ

〈冷凍ナマズの輸入急増、スケトウダラ似の食感〉
〈白身魚のフライ。実はその大半はバサ〉
最近、東南アジアから冷凍ナマズ、バサ(パンガシウス)の輸入が急増している、という記事をしばしば目にします。

「淡泊な味や柔らかい食感がスケトウダラに似ており、ムニエルやソテーのほか、フライや鍋にもよく合う」
「淡白な味で癖がないのに、脂が乗って口当たりはフワフワ。骨と皮が取られたフィレットで販売されているので、扱いやすく、とても魅力的な商品です」
「白身魚のフィレとして販売されたり、蒲焼に加工されてうなぎの代用魚としても知られているそう。身には臭みがないと言われ、確かにフィレに鼻を近づけても魚特有の臭いがありません」
記事はバサを絶賛。

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スケソウダラに化けたナマズ

ナマズを下魚扱いしていた日本に東南アジア産ナマズ、バサが出回り始めたのは20年ほど前。
それまで加工用白身魚の主流であったスケトウダラが世界的に高騰し、頭を抱えた関係業者は、半額以下の原価、臭みや癖がない、などの理由から、バサを代替品に選んだそうです。
ちなみに業者は「○○ナマズ」ではイメージが悪かろうとの判断から、現地やアメリカで通用している「バサ」をそのまま使用することに。

そして2006年頃には水産会社大手が輸入バサを弁当チェーン店やファミレス、給食センター等に売り込み、日本人の胃袋の中でバサがほくそ笑むようになった、というわけです。
「ナマズ、キモい」
なんておっしゃる方も、知らず知らずのうちにバサを口にしているに違いありません。

 

タイのバサは脂ギトギトの大ナマズ、プラーサワーイ

バサはタイでプラー サワーイと呼ばれる大ナマズ。
よく池に放たれていて、パン1斤を投げ込むと大きな口で一呑みしてしまう怪魚です。
食用としては不人気な魚で、家ではまったく食べません。
スーパーで売られている脂ギトギトのパックを見ただけで食欲が失せてしまう。
料理店でもプラー サワーイを使うことなんて滅多にありませんよ。
日本に輸入されているナマズはベトナム産らしいのだけど、タイのと違っておいしいのかなあ。

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タイで人気の冷凍フィレット ドリー

上のような内容の原稿を書いてチェンマイのタウン誌チャオに送ったところ、
「ドーリーはそのバサと同じ魚なのだろうか」
編集さんからメールが来ました。

タイのドーリー

タイのドーリー

ドリー。タイ語でドーリー。
近年全国に広まった魚で、村のちんけな食堂から果ては一流料理店にまで使われているところを見るとその浸透度は相当なもの。
よくフライにされるほか、ステーキ、炒め物、鍋、ヤム、あらゆる料理に使われています。

ドリーの正体にびっくり仰天

ドリーは冷凍フィレットの状態で売られているため、馴染みのあるわりにはその正体が知られていない謎の魚なのですが、
「淡白で臭みも癖もなく、淡いピンクを帯びた見るからにうまそうな白身魚」
と、タイ人は高評価。そんな魚がバサ、プラー サワーイであるはずがない。

「なあんだ。ドーリーもご存知ないんすか?あれは川魚じゃなくて恐らく深海魚かなにかですよ」
といい加減な返事を送りかけたものの、引っかかるものがあったのでグーグル様にお尋ね申せば、驚き桃の木山椒の木。恐れ入谷の鬼子母神。

なんとなんと、これこそがバサでした。
ドリー、家でも頻繁に食べさせられていたのですが、ムニエルやソテー風の料理が多かったし、その外観や味から、深海魚とか舌平目モドキとか、その手の魚だと思い込んで疑ってもみませんでした。
そっかあ。ドリーってプラー サワーイだったのか。
すっかり騙されっちまったぜ。

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みんな騙されている!

ぼくだけではありません。タイ語のサイトには、
「全国民が騙されている。ドリーの正体はプラー サワーイだ!」
なんて書き込みが。
名のイメージのせいもあり、ドリーを深海の高級魚だと思っている人が少なくないようです。

バサとドリー、詐称が引き起こした混乱

調べてみると、そもそもバサはメコンに生息する Pangasius bocourti、ベトナムでカー バサ、タイでプラー ポと呼ばれる大ナマズの仲間でした。
しかし実際には、それよりも一回り大きい、Pangasius hypophthalmus、カー チャー、いわゆるプラー サワーイもバサと呼ばれています。
どうやら意図的に詐称する業者がいてこういう事態になったようです。

さらには、地元東南アジアでは本来のバサが好まれるのに、主な輸出先である欧米の人たちは偽バサ、チャーの味を好み、チャーがバサの主力になりつつある、というのですから、ややこしい。
要約すれば、欧米でバサ、パンガ(シウス)、パンガシウス フィレット、サワイ、等の名で流通しているベトナム産養殖ナマズの冷凍フィレットがタイやマレーではドリーと呼ばれている、ということになります。

タイにもいる魚なのになぜベトナムから輸入?

さて、ここで疑問。
タイ市場に出回っているドリーは、ベトナムに工場を建てて養殖から加工までを手がけているタイ最大のコングロマリットCPグループから送られてくるものが大半です。
タイにもプラーサワーイはうじゃうじゃいるのになぜわざわざ輸入しなければならないのでしょうか。
結論からいうと、味がまったく違うから。

ベトナム産のバサがおいしい理由

先に書いたように、ドリーの味、外観はタイでも好評。
対しプラーサワーイは身にまとわりついている黄色い脂肪が不気味だし、味は見かけそのままに脂がすごくしかも臭い。
ドリーとは雲泥の差があり、とても同じ魚とは思えません。
「よい肉質の魚を育てるには脂肪の少ない餌を与え、水を頻繁に入れ替えて水質を保つことが大切」
専門家は指摘します。

しかし、コストを重視するタイの養殖業者は、糖質、脂質が多い安価な餌を与えるので魚に過度な脂肪がつき、さらにはほとんど水を入れ替えないため、食べきれなかった餌が底に堆積、腐敗。
その環境により身が臭くなるのだそうです。

一方、先のCPグループは、この2種のDNAにはかなりの差異が見られることから、チャオプラヤー産のプラーサワーイとメコン産のチャーはそもそも種が違うのではないか、との見解を示しています。
ここまでたどりつくのに丸2日かかってしまいました。
ああ、しんど。

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