昔ほどではありませんが、今でも「タイ米はパサパサしていてまずい」とおっしゃる方が少なからずいらっしゃいます。そもそもタイ米はなぜパサパサしているのか。それにはそれなりの理由がある、という話です。
日本人が嫌うパサパサ米
タイ米は日本人に不評で
「パサパサしてまずい」
「匂いがきつい」
など好き放題言われていますけれど、タイに住んで毎日タイ米を食べているぼくから言えば、けっこうおいしいお米です。
さて、なぜ、タイ米は日本人にまずいといわれるか。
まずその大きな原因となっているパサパサについて。
パサパサ米をさらにパサパサに炊く!
今はどこも炊飯器を使っていますが、かつてタイは湯取り法でご飯を炊いていました。
鍋で米を煮、火が通ったところで湯を捨て最後に軽く蒸す。
粘りを嫌いできるだけ米をパサパサというかパラパラに炊くための方法です。
赤子泣いてもふた取るな!
とかいっていた昔の人が見たら悲鳴を上げそうですね。
日本人はふっくらしたご飯を理想としていますが、タイ人はこういう具合に一粒ずつくっつかずにパラついたご飯を理想の炊きあがりとしています。
パサパサなのはパサパサの方がおいしいから
どうしてパラ飯が理想かというと、タイでは汁物、煮物、炒め物、何でもご飯にかけます。
日本ではあまり行儀のいい食べ方ではないとされていますが、これが食事の基本、正しい頂き方です。
つまり、もともとタイ米は日本米に比べてよく汁気を吸うので料理をかけると味がご飯に染みておいしく食べられる。
だから、なるべく料理の味をしみ込ませることができるようにご飯の汁けを飛ばしてパサパサに炊くのです。
なるほど、こういう風な食べ方をすれば日本人の嫌がるパサパサがたまらなく愛おしくなります。
嘘じゃありません。
おかずとご飯を品なくぐちゃぐちゃに混ぜ合わせるともっとおいしい。
やってみてください。
極めつけのパサパサ飯
バンコク周辺のご飯もかなりパサパサですが、それよりすごいのが南部です。
箸で食べようとすれば数粒ずつしかつまめないくらいパサパサで硬い。
いくらタイ料理にはパサパサがいいといってもほどがあります。
本当にもう腹が立ってくるぐらい硬い。
ぼくたちがよく海水浴に行く南部の田舎町の食堂も、料理はとてもおいしいのにご飯は水加減を間違えたとしか思えないごっちん飯です。
ある日、その食堂のお婆さんが炊きあがったご飯を味見しているところに出くわしました。
見るからにパサパサのパラパラ。
それなのにお婆さん、
「あら、今日のご飯はちょっと硬さが足りないわね」
と呟きました。
ぼくも一緒にいたつれあいものけぞってしまいました。
ずいぶん長く南部はそういう質の米しかとれない風土なのだと思っていたのですが、あれ、わざと炊いてたんですね。
日本とタイは対極の米食い民族
もともとタイ米は日本米に比べて粘りが少なくさらりとしています。
昔、タイに住んでいた日本人は何とかタイ米に粘り気をだして日本米の味に近づけようと水加減を変えてみたりモチ米を混ぜて炊いたり苦心しました。
その反対にタイの人はいかに粘り気を出さずに炊くかに心血を注いでいる。
同じコメ食い民族とはいえずいぶん違うものですね。
南部のパラめし炒飯はタイで一番
そのまま食べるにはいくらタイ米贔屓のぼくでもおいしいとはいいかねる南部のパラ飯ですが、これを炒めると、ほっぺたがぽろぽろ落っこちるほど素晴らしい炒飯ができます。
南部の炒飯は文句なくタイで一番おいしい。
炒飯対決世界一、というのがあれば、南部の炒飯が優勝、とはいかなくてもベスト3には入るであろうと確信しています。
パラパラ飯だって使いよう。
もし南部にいったときはぜひ炒飯を食べてみてください。
お粥もおいしいですよ。
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