定年後の移住先としても人気のタイ。
でもタイではビザの延長手続きが
年々厳しくなっています。
タイに暮らす外国人は増え続ける一方
なのでやむ得ない部分もあるとはいえ、
外国に住むのは決して楽ではない、
という話です。
ビザ取り物語 1
外国人の長期滞在者が格段に増えてしまったタイ。
それに伴い年々ビザの延長が難しくなっているようです。
旅行や仕事で滞在している人は延長できなくても帰国するだけのことですが、タイ人伴侶を持ちタイに根付いている人たちにとっては人生を左右する大問題といえます。
タイは結婚したからといってずっとタイに住めるわけではありません。
毎年ビザを延長する必要があります。
ビザ乞いのパフォーマンス
何でも最近は延長審査がとても厳しくなり、事前に予約したり、朝暗いうちから並んだり、係官のご機嫌をとるためタイの国歌を歌ったり、チャルメラの音楽に合わせてモエタイの舞いを舞ったりする、という話を聞いてびっくりしました。
しかも、配偶者ビザは自宅の寝室で仲良く抱き合っている写真を撮って提出しなければならないとか。
本当に?そこまでやるの?
寝室のいちゃつき写真は俄かに信じられず、ネットでいくつものサイトを調べて確認。
本当にやってるんだ。すごいね。
偽装結婚でない証明、ということらしいのですが、こんなことで偽装結婚が見破られるのかな。
タイのお役人て面白いことを考えるものです。
要求がエスカレートしたらどうしよう
そのうち、抱き合ってディープキスしている写真を撮ってこい!とかいわれたりしてね。
若いカップルならともかく、歯の抜けた赤いチャンチャンコを着る年代の爺さん婆さんなんてえらいことです。
中には何十年ぶりだろ、というカップルもいるに違いありませんね。
それを見てチェックしなければならない方も辛いといえば辛いよなあ。
このキスには魂が篭ってないから偽装結婚だ!
なんてね。
でも思うに、本物のカップルの方が総じておざなりで、偽装カップルの方が熱いキスをするんじゃないかな。
ともあれ、要求がこれ以上エスカレートしないことを心より望みます。
別の意味で昔も苦労
ビザではぼくもけっこう苦労しました。
今はどうか知りませんがタイ北部チェンライ県在住の場合、ビザの延長はタイ最北端、国境の町メーサーイのイミグレで申請。
申請後、書類はバンコクのイミグレへ送られ、許可が下りるまで毎月メーサーイへ通わなければなりませんでした。
家からバスで片道2時間近く。一日仕事です。
えっ、それあなたの仕事じゃないの?
ある年のこと、普通なら3ヶ月ほどで届く許可が4ヶ月過ぎても来ませんでした。
「また来月来い」
で、来月行くと、
「また来月来い」
言われるままにメーサーイへ通い、9ヶ月。痺れを切らした係官が言いました。
「お前、バンコクに行って訊いてこい」
「ええ?」
驚きました。日本だとこれ、係官の仕事ですよね。
タイは申請者に自分でバンコクまでいって訊けという。
職権を侵すべからず
恐らく、タイには、他人の仕事に対して口出ししない、という不文律があるせいでしょう。
一度、問い合わせて向こうから返事が来なければそのまま。
こちらからバンコクの係官に対して返答を催促することはありません。
向こうの職権を侵したくない、という気持ちが働くようです。
書類がなくなっただと!
文句をいっても始まらないので、バンコクのイミグレへ。
そして係官に事情を訊ねると、
「ああ、君のビザね。出してやりたいのはやまやまなんだけど、書類がないんだ」
「え?書類はメーサーイからこちらに送られたはずですが」
「そうらしいね。でも見当たらないんだ」
「どこへ行ったんですか」
「どこへ行ったんだろうね」
つまり、延長ビザが下りなかった理由は、係官が書類をなくしてしまったから、ということらしい。
それならそれで、メーサーイの方に連絡してくれればいいのに、それもしない。
お役所に限らないけれど、過ちはバレて問題になるまで放置するのがタイ式です。
そりゃないぜ
「で、ぼくのビザ延長はどうなるんですか」
恐る恐る訊ねると、
「一度、国外に出てビザを取り直すほかないなあ」
えええええええええええええ!ですよ。もう。こんな話ありますか。
「そんなあ。それはあんまりじゃないですか。ねえ」
ぼくの隣の席で順番を待っていた日本の女の人にやるかたなく言うと、
「ひどい…」
女の人も思わずつぶやきました。
「まあまあ。そんなにがっかりしないで。遊びがてら、マレーにでも行っておいで。今度申請がきたらすぐに出してやるから」
そうはいうものの、1週間もすれば係官はこんな事件があったことなどころり忘れているに違いありません。
諦めてイミグレを出ました。
だてにタイ暮らしが長いわけではないので、こういう場合にキレて騒ぐとろくな目に遭わないのを知っています。
それにしてもショック。何となく予感はしていたのだけどね。
マレーでビザの取り直し
とりあえず、一度チェンライへ戻り、行きましたよ。マレーシアまで。
当時、ビザが取れるタイ領事館はマレーシアのペナンが一番近くでした。
北の果てのチェンライから南の果てのそのまた南のペナンまで数千キロの大旅行です。
しかも陸路で行きました。
家からバンコクまで夜行バスで約11時間。
バンコクからペナンまで列車とフェリーで約24時間。
乗り継ぎやビザの発行が順調にいって6日。
そのときは8日ぐらいかかったんじゃないかな。
そしてまた2ヶ月後にはメーサーイ詣でして、1から延長申請のやり直し。
もちろん、すぐに許可が下りるようなことはなくて、きっかり3ヶ月待たされました。
しかし、以前はチェンマイのイミグレだっていつ行ってもほとんど人はいなかったし、パフォーマンスをしたり抱き合う写真を提出したりなんてこともなく、係官も親身で現在よりかははるかに楽でしたよ。
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