バンコク最強パワースポット殺人事件

文化

国内外の多くの参拝者で賑わい、踊り子が舞いを奉納するエラワン廟。しかし、かつて祀られていた元祖ブラフマー像は破壊され、人が殺される事件があった。思念渦巻くパワースポットについての話。

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エラワン廟は事故対策で建てられた

バンコク中心部、伊勢丹近くの交差点にあるエラワン像の祠(廟)はバンコク最強のパワースポット。願い事がよく叶う祠として知られている。
エラワン廟がパワースポットとして知られるようになった経緯は《運命が変る バンコク最強のパワースポットで開運祈願》で書いたけれど、もう一度説明しておく。
そもそもここはホテルの敷地の一角にある廟(祠)である。
数十年前、このホテルが建設されていたとき死亡事故が相次ぎ、
「ピー(霊、お化け)の祟りに違いない」
と作業員たちが恐れて仕事にこなくなってしまった。
困ったホテル側は占い師に相談。
占いの結果、祠の方角が悪い、と出たので、言われた通り祠を移したら作業員たちも戻り事故が起きることもなく無事ホテルが完成した。
その話が評判になり、霊験あらたかな廟として連日参拝客が絶えなくなった、というわけだ。

霊験の裏事情

この話、祠のご利益にばかり気をとられがちだけれど、事故を占い師に相談したりお化けに結び付けて考えたりするタイ的思考にも注目して欲しい。
具体的な安全対策よりもまず占い。
占い通りにすれば万事が収まり、どうして事故が起きたのか、誰の責任か、ということはあまり問われない。
事故が立て続けに起きれば原因は取り除かれるだろうし人も注意するようになる。
以降、再び事故が起きる可能性は低い。
人はそれを祠の霊験だと考える。
つまり、悪いことはみなピーのせいで、よいことは仏様、神様のおかげ。
タイの人たちはこういう具合に精神のバランスをとっているのだ。

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思念渦巻くパワースポット

ぼくは霊験とかパワースポットとかはあまり信じないタイプで、エラワンの祠のご利益の話を鵜呑みにするわけにはいかないけれど、念が念を呼ぶ、ということはあり得るのではないかと思う。

エラワン像

毎日どれだけの願いを受け止めているのだろう

毎日あれだけたくさんの人が訪れ、お金が欲しいだの、恋人が欲しいだの、好き勝手な願い事をしているのだ。
そこにあるのはただの像でも人々が押し掛けて念じると発せられた思念が渦巻くようになる。
そのパワーをうまくいい方向に取り入れた人に幸運が訪れるのであろうか。

エラワン像破壊殺人事件

多くの人々に崇められてきたエラワンの像だけれど、実は十数年前の深夜、一人の男によって一度粉々にされている。
目撃者の証言では、男は狂ったように走ってきて柵をよじ登り、金槌を連打して像を打ち砕いたそうだ。
その後、また柵を乗り越えて逃げて行った男を参拝にきていた数人と清掃員が追いかけた。
怒りに我を忘れた彼らは男を捕らえて殴る蹴るの暴行を加え、ついには殺してしまった。

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殺された男の父親の話

翌日、男の父親が警察に出頭してきた。
殺されたのは彼の三男、タナコーンさん26歳。
二十歳のとき徴兵を極度に恐れておかしくなり精神病院を転々。
普段はおとなしいものの病が昂じると外に飛び出して暴れ、警察に取り押さえられては病院送り、ということを繰り返していたらしい。

「事件の起こった夜、症状が現れ、問題を起こしそうになったので警察に通報しました。でもその前に隙を見て逃げられ・・・・・・まさか、こんなことになろうとは思っても見ませんでした」
「殺されたことについては何もいいませんが、息子が哀れです。遺体は葬式の後、墓地に埋葬します」
淡々とした表情で父親はテレビのインタビューにこう答えていた。

正義が人を殺す

どんな大切な像であろうと像は像。生身の人間の方が大切だ、と、思うのだけれど、
「若者が殺されたのはバチのせいだ」
とあちこちで囁かれた。
清掃員も、人を殺したことについて何の反省も後悔もなく、自分たちの行為は当然だと思っているようだった。
ときどきこうやって信仰や正義のために殺人が正当化される。
人殺しは仏教でも五つの大罪の一つに数えられていたはずだ。
でもこのことに言及する意見はまったく聞かれなかった。

タクシン前首相狼狽

破壊事件はちょうどかのタクシン首相が追い詰められていた時期。
チェンライ県にいた彼は顔色を変えた。
自分に関連付けて考えられるのは目に見えている。
事件の翌日、彼は副首相ほか一向二十名を視察に向かわせるなど迅速に対応したのだが、案の定、有名な占い師は、
「タクシン首相が辞任しないと国は数週間中に重大な危機に陥る」
と予言。それがテレビや新聞で大きく報じられた。

ご存じのように数週間後ではなかったもののタクシン首相は後に革命で政権の座を追われてしまった。
予言は外れたともいえるし当たったともいえる。

像は変っても霊験は変らず

エラワンの像は、所有者であるエラワンホテルがまったく同じ像を造りなおすことになり、しばらく写真だけが飾られていた。
今安置されている像は金槌でぶっ叩いても壊れない金属製で、中には砕かれた像のかけらが入れてあるそうだ。
祠には以前同様、連日、多くの人が拝みに訪れている。
像が打ち壊されて以来ご利益がなくなった、との話は聞かないから、やはり神秘パワーは像に宿るのではなく人々の念にあるのかもしれない。

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